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災害の記録と教訓を後世に残す | 県内JAの話題 | JA長野県グループ「農」のポータルサイト いいJAん!信州

作成者: いいJAん!信州|Jan 17, 2021 3:00:00 PM

長野市若穂地区の住民は、「若穂地区災害復旧記録集」を発行した。台風19号の被災状況や復旧・復興過程をまとめたもの。災害の記録と教訓を後世に残すとともに、住民の防災意識を高める考えだ。
同地区では、台風19号により千曲川とその支流の氾濫。住宅被害は比較的少なかったものの、農地50ヘクタールでは、河川氾濫により、果樹等の樹木や資材が流出、また、土砂やゴミなどが堆積するなど甚大な被害が発生したほか、河川の護岸が崩れて通行止めが発生するなど住民の生活に影響が出た。
同地区住民自治協議会や自主防災会連絡協議会らが災害対策本部を結成し、復旧・復興に向け、住民やJA職員らによる農地のゴミ拾い等、また、行政等への復興事業の要請活動、新たな防災対策や防災体制の確立へ尽力した。また、農地では、「新たな農業振興対策」を確立し、共有地組合や地権者による耕作継続はもとより、農業法人等への農地集積策を講じ、これによる栽培がスタート。被災した道路では復旧工事も進んでいる。
これらの活動に合わせ、自主防災会連絡協議会竹内守雄会長の発案、住民自治協議会や区長会らの積極的協力で、2020年(令和2年)4月から同記録集作成を開始。会員が住民から写真や情報の収集に回った。冊子はA4判56ページカラー刷り。災害発生時の河川や避難所の状況、路肩崩落した県道菅平線の被災直後、被災箇所の復旧に向けた活動などの写真、また、各種災害対策の実施状況、復興に向けた対策案、被災で浮き彫りとなった課題などもまとめて掲載した。長野市の復興支援金を活用し、350部を作成。地区公民館などに備え置くほか、防災指導員など関係者への配布、また、希望により1冊1,000円(税込)で販売もする予定だという。
冊子完成にあたり、1月15日、住民自治協議会小宮山泰典会長、自主防災会連絡協議会竹内守雄会長、住民自治協議会刈間匠一事務局長が長野市役所加藤久雄市長を訪問し、記録集を贈呈。竹内会長は、市の協力に御礼を伝えるとともに「かつてない災害の記録を残し、風化させることなく、災害の教訓をしっかりと次へつないでいきたい」と話した。加藤市長は、「非常に貴重な記録集。地区、市の発展の大きな力となる」と称賛し礼を伝えるとともに、今後の地域活性化と市政への理解協力を求めた。