長野県長野農業農村支援センターと須坂市、村山早生ごぼう生産組合は須坂市村山のほ場で10月13日、伝統野菜「村山早生ごぼう」の産地見学会を開いた。県と市の職員、生産組合員、村山早生ごぼうの栽培を検討する地元農家ら20人が参加。村山早生ごぼうの歴史、生産状況や消費動向、栽培方法を伝えた。また、日本料理「ゆ庵」代表の湯本忠仁さんを講師に招き、村山早生ごぼうを使った料理などを紹介した。
村山早生ごぼうは、須坂市村山で栽培されているごぼうで、あくが少なくやわらかい食感が特徴。きんぴら、煮物、天ぷらの材料や味噌漬けなど用途が広い。1955年頃の最盛期には100戸を超える農家が栽培していたが、その後果樹栽培が広がり、ごぼう農家は減少した。品種の維持発展のため、2007年に村山早生ごぼう生産組合を設立し、同年に県の「信州の伝統野菜」の伝承地栽培認定を受けた。現在は村山地区の15戸の農家が50アールほど栽培し、須坂市内のJAながの農産物直売所などで販売している。
村山早生ごぼうは主に4~6月にかけて播種し、8~12月にかけて収穫する。昨年10月の台風19号災害時には、多くのほ場が浸水し収穫不能となったが、今年は8月末から順調に収穫が進んでいる。
産地見学会では、生産組合代表の黒岩粂蔵さんが実際に収穫する様子を見学した。黒岩代表は「生産量は減少しているが、需要がある。伝統を守りながら生産拡大をはかっていきたい」と話した。