昨年の台風19号豪雨により千曲川の堤防が決壊した影響で浸水被害を受けた、長野市大町のJAながの「ながのフルーツセンター(旧長野平フルーツセンター)」は、稼働不能となった大型選果機の入れ替え工事が完了し、9月16日、竣工式を行った。JAの役職員や組合員の代表者、建設業者ら32人が参列。施設を披露し完成を祝った。22日から稼働し、リンゴの選果作業を行う。主要品目のリンゴ出荷最盛期を前に、生産者や市場関係者からの期待が高まっている。
7月上旬から復旧工事が完了した重量選果機や低温貯蔵庫などの設備から、順次稼働している。9月22日から稼働する最新式の選果荷造り施設は、フリートレー式選別設備、自動箱詰め装置、品質センサーなどのシステムを導入。選別時の品質維持と作業の効率化、着色・糖度センサーの利用による付加価値を付けた販売が可能になる。フリートレー式選別は、果実を乗せるトレーが独立して移動するため、果実への接触がなく、品質を損なわないシステム。また、自動箱詰め機は将来的な作業員不足にも対応する。外部品質センサーは、カメラを5個配置し5面計測が可能で、今後はAIによる蓄積情報を利用して人による目視選別の負担軽減を進める。高品質リンゴを継続出荷することで市場からの信頼や評価を更に高め、販売力強化により農家所得の向上をめざす。
JAの宮澤清志組合長は「昨年の台風災害により農地や家屋などに甚大な被害が発生し、当施設も壊滅的な状況となり、役職員一丸となり復旧に取り組んできた。今後も組合員の負託に応え、農業振興に全力で取り組む」と強調した。