JA長野厚生連富士見高原医療福祉センター富士見高原病院は1月から、歯科口腔(こうくう)外科を新設して医療の充実を図っている。口や歯の細菌から肺炎を引き起こす高齢者は多く、住民の高齢化が進む中で同院は口腔ケアを重視。入院患者や外来者を積極的に受け入れ、地域住民の健康増進につなげる考えだ。
同科は開業医の紹介を受けた患者の治療をはじめ、同院の入院患者や福祉施設の利用者の口腔ケアに取り組んでいる。開設した1月は、患者数が68人と計画(60人)を上回った。利用した入院患者から「入院中に入れ歯を診てもらえて助かった」(70代男性)との声や、外来患者から「遠くまで行かれなくても診てもらえて安心」と喜ぶ声があるなど好評だ。
口腔ケアは虫歯や歯周病の原因となる菌だけでなく、細菌の毒素が全身にも及ぶ「歯垢(しこう)」の除去も目的。同科は患者の歯や入れ歯、飲み込む力などを診察し、口の中の細菌が肺に流れ込んで生じる肺炎の減少に努めている。また、血液を固まらせにくくする薬を飲んでいる人や糖尿病などのリスクが高い人、肝臓や腎臓の機能障害といった全身疾患がある人など、歯に関係する炎症の治療も行う。
同科は、院外から紹介のあった患者を月、水、金曜の午前中に診察し、その他の時間は老人保健施設の利用者などの口腔ケアを行っている。草深佑児医師は「患者に寄り添った治療を心掛けたい」と話す。