JA長野厚生連安曇総合病院は、11月22日に発生した長野県神城断層地震で被災した白馬村、小谷村で暮らす住民の心のケアに乗り出した。精神疾患を担当する医師や職員らで「こころのケアチーム」を発足。現地の避難所などに出向いて、被災者の悩みに耳を傾け、不安感を取り除く診療に取り組んでいる。
同病院は地震被害が発生した地区を含む大北地域の基幹病院。今回のケア活動は、精神疾患を担う「心の医療センター安曇」の村田志保センター長が2011年に東日本大震災の支援活動に参加した経験や、地元住民の健康を守るという思いから長野県に支援を申し出て始まった。
村田センター長は「雪が降り始め、被災者にとって今いる避難所を今後、移らざるを得ないことを考えれば、どれだけ心細いことだろう。丁寧に長期にわたって支援をしていきたい」と話す。
11月27日には医師・看護師・臨床心理士、精神保健福祉士、事務職員でつくる「こころのケアチーム」が発足、白馬村、小谷村の現地に出向いて被災者の話を聞くなどの支援介入を実施した。また、小谷村保健師からの要請を受け、深刻な症状を抱える被災者2人に対して医師が診察した。
避難所では、面接型による日常会話を中心に「睡眠」「体調」「食欲」の状態を確認。被災者からは「眠れない」といった相談があり、医師が対応した。また、現在困っている症状や被災後の生活状況、家族の支援などの話も聞き、心のケアに努めた。
現在も避難生活を送る住民は多く、中には精神的な不調をきたしている人もいることから、今後も同チームは被災地へ週1回程度通い、(1)震災で不安や不眠症状が出ている人(2)もともと精神障害を持っている人(3)地元で生活や復旧に苦労している人―を対象に心のケアを続ける方針。
同病院では24時間対応の災害支援(心のケア)相談ホットラインも開設し、万全な医療体制の確立に努める。相談ホットラインは同病院、(電)0261(62)3166。