長野県松本地域などで3日、激しい雨と突風と伴う降ひょうがあり、広い範囲で農業被害が発生した。JA松本ハイランド管内の松本市笹賀地区や今井地区、山形村、朝日村では大きいもので2センチのひょうが降り、主産品のレタスやリンゴ、スイカ、ナガイモなどに大きな被害が出た。
摘果が進んでいたリンゴには多数の傷がつき、収穫を控えたレタスには大きな穴が開いた他、定植間もないブロッコリーの苗などにも被害が発生した。
また、ひょうで折れたブドウの枝が突風で飛ばされたり、農業用ビニールハウスが倒壊したりした。激しい雨によりナガイモ畑に大量の水が流入する被害もあり、JA管内では491ヘクタールで4億5000万円の農業被害を見込んでいる。
JAは3日午後6時に「降ひょう・暴風雨による農業被害対策本部」を設置。農家に防除などの緊急的な技術情報を提供しながら、各地区の営農指導係が被害状況の把握を進めた。4日には行政関係者と被害現場を視察した他、レタス類の目ぞろえ会を笹賀地区と朝日地区で開き、被害を受けたレタスの出荷について対応を検討している。
松本市今井地区でリンゴを栽培する田中武彦さん(54)は、4ヘクタールの全て園地で被害を受けた。ほとんどの果実が打撃や裂傷を受け、生果での出荷は絶望的という。
同地区では2009年6月にもひょう害を受けたが、今回はそれを上回る被害とみられる。加工用や災害果として販売しても収入は通常の3分の1に満たず、「5年前のひょう害時に借りた融資を返し終えたばかりなのに」と肩を落としていた。