JA長野厚生連富士見高原医療福祉センター富士見高原病院はこのほど、ニューヨーク州立大学教授のグレゴリー・イーストウッドさんを招き、「生命倫理から考える『老いは誰の為(ため)のものか?』」と題した特別公開講座を開いた。
生命倫理とは、生命の誕生から死に至るまでに起こる、さまざまな問題を議論して解決していこうとするもの。
講演でイーストウッドさんは「現代医学は、人工栄養や生命維持装置を考案して、死についてもコントロールするようになった。現代医療では、本人の意思に基づいた患者第一の医療やケアは大原則であるが、高齢者では自己決定ができないケースが往々にして存在する。医療やケアの提供側の先走りでもなく家族の思い込みでもなく、限りなく本人の生活や考え方に依拠し充実した晩年を過ごすためには、医療関係者だけでなく家族も含めた倫理的な議論や思考が重要である」と語った。
そして、社会福祉の立場から、患者や家族の抱える心理的・社会的な問題の解決、調整を援助し、社会復帰の促進を図ることを専門とする、医療ソーシャルワーカーの存在の重要性を説いた。
講座は、院内職員、地域住民、近隣の医療関係者ら165人が参加し、最後まで熱心に耳を傾けた。