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果樹園から煙が上がると春近し。あるリンゴ農家の春仕事

炭作り

朝晩の冷え込みはあるものの山の雪解けもはじまり、信州にも春の足音が聞こえてきました。県内の果樹農家でも1月中旬から農作業が始まり、2月下旬からあちらこちらの果樹園に煙が立ち上っています。「この煙はなに?」と思われた方も多いのでは。今回は、その煙の正体を探ってみました。

春によく見られる「里山に煙」のヒミツ

炭作り

煙が天に向かって立ち上がる

煙の正体は、リンゴの木の剪定(せんてい)作業で出た枝を焚く煙です。剪定とは、樹の成長する姿を見極めながら無駄な枝を切り落とす作業で、果樹農家にとっては一年の最初に行う重要な作業で、1月から3月にかけて行われています。剪定作業が終わり、切り落とされた枝が散乱する園内で、枝を片付ける作業が「枝拾い」。畑に落ちている枝を一本一本拾い、専用の鋏で切って太い部分と細い部分に分別する作業です。越冬病害虫の駆除と園内の清掃を兼ねて焚くのが「枝焚き」作業で、リンゴ以外にも、梨、ブドウ、桃などの果樹園でも「枝焚き」は行われ、煙が立ち上ります。その風景は、信州の風物詩といってもよいかもしれません。

炭作り

枝拾い

炭作り

剪定ハサミで拾った枝を整える

リンゴの細枝で作る小さくてあたたかいエネルギー

今回は、リンゴ農家である編集部員D宅(長野市桜)の枝焚き作業の様子と、そこからできる産物の紹介です。産物とは、細枝を燃やし途中で消して炭にする「消し炭」です。昔は、堀こたつの家庭が多く、リンゴの細枝の「消し炭」はこたつの種火としてほとんどのリンゴ農家で重宝されていましたが、電気こたつなどの普及により堀こたつの家庭は減り、この近所でも「消し炭」をつくる農家は少なくなりました。
そんな中、こたつは「消し炭」を火種にしている「掘りこたつ」だけ! というD家に伝わる「枝焚き」から「消し炭」ができるまでを紹介します。
「枝焚き」は、2月中旬から始めます。なぜなら、まだ園内に残る雪を使って「消し炭」をつくるからです。

作業工程は、

  • 1 「枝拾い」で分別した細枝の束をリンゴ畑の一角に集め、火を点けます。
  • 2 火の勢いを弱めないように、枝を次々に寄せながら焚いていきます。
  • 3 枝が灰にならないように注意し、途中で雪を火にかけながら炭にしていきます。
  • 4 完全にすべての枝が炭になれば「消し炭」の出来上がりです。
  • 炭作り

    剪定された枝の山

    炭作り

    枝の山に火をつける

    炭作り

    燃えている枝の上に枝を追加しながら

    炭作り

    素早く雪で炭にする

    炭作り

    燠(おき)ができたら雪をかける

    炭作り

    「消し炭」が出来上がり

    雪が消えてしまうと水をかけて「消し炭」を作りますが、雪を利用した方が水汲み作業が軽減されるとともに、「消し炭」を乾燥させる時間も短時間で済むので、我が家ではできるだけ雪を利用して枝焚きをしています。
    また、太枝は薪にして、お風呂を沸かすときの熱源として使用しています。昔ながらの薪の風呂と掘りこたつの生活で、体にも家計にも環境にもやさしい暮らしをこれからも続けていきます。
    春を迎える準備作業と農家の暮らしを紹介しました。

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