片桐さんの農事録
[片桐さんの農事録]

みなみ信州発☆羊と暮らすゆきさんの農事録 第67回

ゆきさん農事録

 

こんにちは!^^*
暑さ寒さも彼岸まで・・・とはよく聞く言葉ですが、例年より随分遅い梅雨明けを取り戻すかのごとくの連日の猛暑猛暑猛暑。お盆を迎え、日中は37℃近くまで上がっても、日が落ちるとどこかひんやりとした風が吹き、トウモロコシ畑の暗がりからはリーリーと虫の声が響いているので、季節は確実に進んでいるんだなぁと思い込もうとしている私ですが、ひんやりと感じたのは感覚的なことで、牛舎内の温度計が、日が落ちてからも32℃あった時には、なんとも言えない気持ちになりました(笑)

ゆきさん農事録

迎え火

毎年8月の記事には飯田市が誇る人形劇の祭典「いいだ人形劇フェスタ」の事を少なからず書いていたので、初の中止にしょんぼりしつつも毎日の仕事に追われ、お寺さんのお参りや親戚の新盆ではじめて「世間はお盆休み」という事に気づく事態(笑) そんな夏真っ只中、皆様はいかがお過ごしですか?

 

乳質成績、2回目の東海酪連トップです!

ゆきさん農事録

 

さて、今年も東海酪連乳質成績上位10位に入る事が出来ました^▽^* 4年連続なんですけど、なんと! 2回目の東海酪連トップです! ・・・何故だか、言葉にするとあまり凄い! って感じしないんですけど、農事録最後の年にも誇らしい成績を残せて良かったです^^b

今年はコロナ禍の影響もあり、7月末にあった総会での表彰式に酪農家は参加しませんでした。後から賞状と賞金を頂いたのですが、総会があったらまた謝辞を考えなきゃだったんだなと思う一方で、私が酪農家を続ける上での考えは、2018年にトップを頂いた時に謝辞としてまとめた、2017年6月の農事録「『きれいで安心な牛乳』のために」の部分からブレることなく居るので、是非皆さん、過去の記事ではありますが、今一度私の謝辞を聞くつもりで読んで頂けたら嬉しいです^^*

 

「治らない乳房炎」

ゆきさん農事録

 

昨年の記事を見ると、乳質も乳量も目標通り! みたいな事を書いているのですが、今年はと言えば散々で><; 写真は、乳房炎の治療をしている様子です。

我が家は乳質成績はいいのですが、決して乳房炎が少ないワケではありません。早期発見・早期治療に努めて、良質な牛乳に「混ぜない」事を徹底しているのです。そして、これはもう「運」だなとも思うのですが、今までは「治る乳房炎」ばかりだったんですよね。農事録を書いてきて初めての「治らない乳房炎」に直面しています><; (とは言え、以前一度、甚急性乳房炎で、発症後数日で死亡してしまった例もあるので、治療出来る可能性があるだけ救いなのかもですが)

乳房炎のタイプというのは人間の風邪のようにいくつかあって、症状や重篤さ、完治期間なども随分差があり、それぞれで薬も異なっているのですけど、今回の牛もーは試す薬試す薬、治る気配が無い・・・! >皿<;
そもそもこの牛もー、平熱38.5℃で、39℃を超えてくると食欲が落ちるのが普通なのですが、41℃を超える、今すぐ死んでもおかしくないような高熱でも餌だけは普段とあまり変わらず食べていて、畜主(我が家)と獣医さんの度肝を抜いているので、一筋縄ではいかないのかもしれませんが><; 人間でもそうですけど、「個体差」って不思議ですよね。今現在、格闘すること1ヶ月。もう暫く根気よく治療を続けてみようと思います。

 

久々の子宮捻転 > <;

ゆきさん農事録

 

一方で、こちらは久しぶりに子宮捻転の治療前の様子。
覚えていますか? 農事録1年目12月の記事で書いた、子宮口の捻れを牛もーをごろりごろりと力業で転がすことで治す治療法です・・・!

この牛もー、予定日は9月24日なのに、何故か8月15日朝に産気づいて。1ヶ月の早産かなぁ? と思いつつ種付け台帳(人工授精の記録帳)を調べてみると、本来の予定日の1ヶ月前にも一度人工授精をしていたんです(笑) 先の人工授精で妊娠しているのに発情兆候が出る事がたまにあり、以前から時々あることなので余り驚かない事例なのですが、どちらにせよ死産の可能性が高いなぁと思いながらの治療でした(早産の可能性も捨てきれなかったので、子牛が死んだことにより子宮捻転が起こったと考えていたため)。

所でこの写真、見る人が見ると「あ、牛舎スカスカじゃん」と分かるのでちょっと恥ずかしいのですが、現在50頭牛舎のうち7カ所(7頭)も牛もーが居ないんです。
単純に、夏場の作業が大変なので牛もーを減らして居たのと、出す予定も無い子達が産後の体調不良で相次いで出荷を余儀なくされたり・・・が重なったんですけど、外気温35℃を超える雲一つ無い炎天下で色の黒い牛もーの子宮捻転の治療。「別の理由で死んでしまうかも・・・」と言う獣医さんの言葉に、牛もーを移動させて牛舎内に空間を作り、対処しました。何が幸いするかわかりませんね(笑) ちなみに、足下の黒いマットも農事録に登場しましたね! この数年で交換した牛床のマットを処分せずに居たので、コンクリートの床に対してクッションの役割で再利用。こちらも、まさかの使い道です(笑)

近所の酪農家さん達も力を貸して下さり、翌16日昼過ぎに無事に産まれたのですが・・・子牛、生きていたんです!(笑) まる1日半出るに出られず、もう完全に死んでいるとばかり思って居たので、臍帯を消毒するためのヨーチンなど必要な物を用意していなくて慌てたのですが(笑) 私が思う以上に命は強く、時にあっけないのだな、と。「思い込みで行動しないように」と今年4月の農事録、折角産まれた子を死なせてしまった時に思ったはずなのに、学習していない自分が恥ずかしい限りです。

ゆきさん農事録

 

8月はお盆に加え、戦争の記事を目にすることも多いので、生死について触れ、考える機会も多くなりますね。 いつ死んでもおかしくないと言われていたハピちゃんも、体重が戻ってきて、毎日遊んで欲しくてしつこくちょっかいを出す黒ちゃんに教育的指導をしています(笑) 私の周りで留まってくれた強い命に感謝しつつ、失われた命を偲びつつ、今日も、生産の現場に立ちたいと思います^^*

今月は写真も少なかったので、来月はいいショットに出会えるといいなと思いつつ、まだまだ暑さは厳しそうですが、移りゆく景色を楽しみながら、次のシーズンを迎えたいですね^▽^*

では、また♪

ゆきさん農事録

 

 

この記事を書いた人

片桐由貴さん

伊那谷をまっすぐ南に向かって流れる天竜川流域の牛舎で、仕事と趣味、どちらも楽しむという片桐由貴さん。大学卒業後「やっぱり牛が好き!」と、家族の営む酪農に就農して12年。80頭ほどの牛たちと、ペットの羊2匹、猫5匹と過ごす日々を綴ります。

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