片桐さんの農事録
[片桐さんの農事録]

みなみ信州発☆羊と暮らすゆきさんの農事録 第58回

ゆきさん農事録

 

こんにちは!
耳を澄まさなくても聞こえる、虫の大合唱が賑やかな季節になりましたね^^* 何故か同じ木で二度目の金木犀が薫る10月も後半、皆様いかがお過ごしですか?

 

災害と地域づくり

ゆきさん農事録

 

と言うか、まずは飯田市の我が家は、牛もーも人間も、ピンピンしていますよ! の報告からの方がいいでしょうか。
台風19号による各地の河川決壊。千曲川の堤防決壊が大々的にニュースに流れたら、有り難いことに大学同期や遠方の友人達が心配して連絡をくれたのですが・・・。当サイトを愛読して下さっている皆さんならご存じですよね。私の住む飯田市と、決壊箇所のある長野市はめちゃんこ離れているって。友人達には長野県の地図を送って、千曲川は日本海に流れ込む川なんだよって説明しました。(飯田市を流れる天竜川は太平洋に流れ込む川です^^)
同じ県内とは言え、長野市には縁が無く土地勘も無いのですが、連日TVで見る映像はあまりにもショッキングで。今回は南アルプスが伊那谷を守ってくれましたが、少しコースがずれていたら途方に暮れているのは自分だった可能性だってあります。他の被災された地域を含め、冬が来る前に少しでも住民の皆さんが安心して住める形が整えばいいなと、祈らずには居られません。

個人的には、今月の農事録公開前に東京に用事があるのですが、中央道が土砂崩れにより不通になっていて予定をキャンセルするかしないかの迷い所で、普段当たり前の様に未来の予定を立てられるのは、実はとても凄いことなんだなぁと思ってしまいました。
「衣食住」に限らず、医療や治安などの不安が無くなってはじめて、人の心には余裕が生まれますもんね。

ゆきさん農事録

 

近年は「観測史上初」とか「50年に一度の・・・」的な言葉が毎回付属してきますよね。おそらく、今後はこれらの自然現象の規模が普通になってくるんだと思います。今回の台風の前には我が家も、堆肥舎の錆びてしまっていたパイプを修理したり、発電機の見直しを行ったりしたのですが、自分で備えることは第一として、土砂災害や浸水被害を防ぐため、農地や住宅地整備の見直しも、地域・県・国単位で行っていかなければ、毎回同じ被害の繰り返しになってしまうのかもしれません。勝手な考えではありますが、被災地域が、災害に強い地域づくりのモデルとなるような形で再建されていくことを願います。

 

はじめましての黒ちゃん

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所で。
台風の日に迷い込んできた子が居るんですよΦwΦ
例によって例のごとく、うちの先輩猫たちはお仲間にしてくれる気がないらしく^^; チビが追いかけるとシャーシャーいって怒るのですが、黒ちゃん本人も人が手を出すとまだ威嚇しまくってくるので、「黒ちゃん、君は黒ちゃんです。懐かないと飼ってやらんよ」と言いながら、毎日餌をあげて、ごはんがなくても抱っこできるように訓練しています。...なんて意気込んでいましたが、わずか数日で誰でも抱っこできる状態になりました(笑)

 

牛もーの人工授精の話

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さて。
話はコロッと変わりますが、写真の中、ピンセットで摘ままれているものが何だか分かりますか? 実はこれが、牛もーの人工授精に用いる「精液ストロー」です!

何度か人工授精の話は書きましたが、写真は初めてですよね^^
牛もーの雄は1回の射精で平均5mlの精液を射出します。その中には約100億個もの精子が含まれていて、人工授精ではこれを10~100倍に希釈して使用します。精液ストローの内容量は0.5mlか0.25mlで、1本あたり1000万個以上の精子が含まれているんです。
雄牛1頭の1回分の精液で、計算上は100~200頭分の人工授精が可能となるわけです^^b

・・・その割に牛肉って高くない? って思われるかもしれませんね><;
これはただただ「人工授精したからといって、確実に妊娠出産出来るわけではない」と言うこともあります。
雌牛の発情ジャストタイミングで人工授精が出来なければ、当然牛もーは妊娠しないし、更に外部温度も影響していて、ここ最近の様な猛暑だと雌牛の体内で卵子が煮えた状態になってしまい、発情の兆候を受けて人工授精をしても、受胎までたどり着かなかったり、前回からの産後の体調によっては無排卵発情だったり、また、受胎はしても初期段階で流産してしまい、気付いたらまた次の発情が来た・・・なんてことも。

という訳で、人工授精をしても確実に妊娠までこぎ着けないという事が多々ある上に、280日の妊娠期間を経て出産後の、お肉として育てられ出荷されるまでの期間も、とても長いのです。(豚は妊娠期間も短く1年に2回のお産が可能で、尚且つ1回の出産平均頭数が8頭らしいので、こういうのも比較するとなかなか目新しくて面白いですよ)
私も肉牛に関しては詳しくないので色々調べたのですが、黒毛和牛では27~30ヶ月、乳用種・交雑種では20~26ヶ月という時間を必要とします。(ブランド牛によって差があるようです)
更にただ時間が過ぎればいいと言うわけではなく(笑) ステージ毎に担当する農家さんが居て(繁殖農家・哺育農家・肥育農家)、それぞれが手塩に掛けて育てますが、この時の飼料が日本ではほぼ輸入飼料に頼らざるを得ず、経費を押し上げていると言う問題もあります。

以前に牛乳も、消費者の皆さんの元へ届くまで信じられないほど沢山の人の手を介していると書きましたが、お肉の方も同じように沢山の方がその安定した流通を支えて下さっているんですね^^*

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牛肉は、例えば鶏や豚など、他と比べてしまうと確かに高く感じますが、こうやってその牛肉が私たちの手元に届くまでを簡単に見ただけでも、「ホントに高いのかな?」と思ってしまうだけの長い時間を必要としていることがわかります^^
スーパーには色んなお肉が並んでいて目移りもしてしまいますが(笑) お財布と相談しつつ、じっくり育てられた美味しい牛肉もチョイスしてみて下さいね♪ 

 

秋本番の風物詩?

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写真のダリアは、台風でダメになる前に見に来て~! と言われて行ってきた豊丘村のダリア園のもの^^* 花だけにしてもお皿に浮かべて長く楽しめるのが素敵ですね。

そう言えば、去年の10月も歯医者に通って居ましたが、今年も詰め物が取れて歯医者に通って居る私です。歯医者・・・心底苦手なのですが縁が切れないのは何故なのか><; 担当してくれる先生が声の穏やかな方で、それだけが唯一の救いです(笑) 皆さんも、リンゴやお餅で歯を酷使(?)する前に、歯の定期検診お忘れなく!

そして、もうインフルエンザも流行の兆しとか。季節の境目がだいぶあやふやになっている印象は受けますが、地味に気温差のある毎日です。手洗いうがいを忘れずに、もうしばし秋を満喫して冬に備えましょう^^*

では、また♪

ゆきさん農事録

ほるこ

 

この記事を書いた人

片桐由貴さん

伊那谷をまっすぐ南に向かって流れる天竜川流域の牛舎で、仕事と趣味、どちらも楽しむという片桐由貴さん。大学卒業後「やっぱり牛が好き!」と、家族の営む酪農に就農して12年。80頭ほどの牛たちと、ペットの羊2匹、猫5匹と過ごす日々を綴ります。

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