大樹の農事録
[大樹の農事録]

大樹の、安曇野うまい米づくり農事録 第19回

北アルプスをのぞむ安曇野市は、1等米比率日本トップクラスの長野県を支える米どころ。25歳でお米農家を継いだ安田大樹さんは、おいしいお米を作り続けることが「ふるさと安曇野の景観を守り、地域を楽しくしていくことにつながる」と考えました。

明けましておめでとうございます!
今年の運勢は「末吉」のひろきです。順番を調べたら凶の一歩手前だそうな。
何ともいえない気持ちで始まりました2021年。おみくじの結果に引きずられることなく、今年も元気に行きたいと思います。
本年もよろしくお願い致します。

安田さん農事録

 

おみくじの結果もコロナウイルスも知らないコマ。世間に流されないペットは見ていて癒されますね~。
こんな時代ですが、コマのようにいつも通りの一日を積み重ねていきたいものです。

 

年末の恒例行事

年末と言えばお餅つきですね。例年ならそこら中から親戚が帰ってきて大勢で盛大に行うところですが、今年は帰省者無しでご近所のみでの開催となりました。

安田さん農事録

 

安田さん農事録

 

何といってもつきたてのお餅はほかほかで、びよーんともちもち。この柔らかいお餅は市販品では絶対に味わうことが出来ない美味しさです。子供は砂糖醤油やきな粉が好きですが、私はおろし醤油であっさり頂くのが好きですね。

お餅はお正月には欠かせない食べ物ですよね。食べる以外には、丸めて鏡餅にして神様のお供え物にもなります。 餅つきには、年神様に一年の豊作を感謝し、新年の豊作と幸福を祈るといった大切な意味もあります。以前にも書きましたが、お米の花言葉は「神聖」。神様の食べ物でもあるのです。
その他には、杵と臼を男女に見立てて子孫繁栄の願いも込められているんだとか。

お供えした鏡餅は鏡開きをした後に、お雑煮やお汁粉にして食べますよね。これは神様と同じものを食べて力を与えてもらうためだと言われています。

お正月に何となく食べているお餅。少しでもその意味を知ると味わい方も変わってくるんじゃないでしょうか。 コロナ禍にありながら大事なく一年を終えられたことに感謝感謝です。

 

神様がいっぱい

本当に大変な年だった2020年ですが、家族一同健康で過ごすことができました。こんな時、神様仏様に手を合わせるのは農家だからでしょうか。
考えてみるとサラリーマンだった頃は神棚に手を合わせるということが少なかったように思います。学生の時なんて、受験か就活か縁結びの時くらいしか手を合わせませんでした。そう考えると本当に自分勝手な祈り方です(;^_^A

そんな信心深いとは言えない我が家ですが、沢山の神様に守られております。天照大御神をはじめ、えびす様、だいこく様、田の神様、竈神様、天神様、地区のお宮(諏訪大社)。そしてご先祖様←ここら辺では「ののさま」と言います。
こうしてみると家中神様だらけですね。

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写真は学問の神様として有名な天神様。我が家が昔、寺子屋だったからでしょうか。受験勉強の際は大変お世話になりました。

脱サラして農業を継ぎ、農家目線で地域の神社のお祭りを見てみると、その殆どが一年の豊作を願ったり、収穫に感謝したりといったことを目的として行われていることが分かりました。
おそらく、まだ農業が職業でなかった時代、病気や自然災害で食料が取れないという状況は直接死に繋がるものだったと思います。危機に瀕した住民たちは本当に何とかして災害を沈めたかったのでしょう。農業を生業にして自然の力の大きさを肌で感じ、はじめて神様を祀るという行為の意図が分かった気がします。
「唯一神」ではなく、「八百万の神」が生まれたのは災害大国日本の歴史の現れなのかもしれません。

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これは交通安全を祈願する「道祖神」。この他にも地区の中には色々な神様が沢山祀られています。
通常、お祭りといえば、屋台や出店でゲームを楽しんだりお神輿を担いだりといったイメージで、本当に大事な神事は軽視されがちですが、楽しむ傍ら、神様への感謝の気持ちは忘れないようにしたいですね。
「政教分離」で区とお宮を分けて運営しなさい、という流れではありますが、地域のお宮(守り神)を中心としたお祭り(コミュニティー)は無くならないで欲しいです。
人との繋がり方が多様化し、誰とでも簡単に繋がれる時代です。しかし、地域の顔の見える人との関係は地方自治や地域防災に欠かせません。必要以上に仲良くすることはありませんが...。このご時勢、コロナの影響で他人行儀になるようなことなく、簡単な挨拶くらいは心がけていきたいものです。

 

工作にも豊作の祈りを

小学校も昨年の長期休校で、授業カリキュラムに余裕がない状況になっています。そのため今年度は冬休みも短縮され、その割に宿題は多いという印象でした。
息子と冬休みの工作をどうしようかと考え、農家だし、縁起を担いで「米俵」でも作ってみようかということになりました。

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私がしめ飾りを作っている隣で、長男の藁細工初挑戦です。
俵の作り方自体は難しくはないのですが、要所要所で藁の束をきつく結ばなければいけないところがあります。どうやらそこが難しいらしく、何度も藁が切れたりほどけたりして、目に涙を浮かべながら頑張っていました。
「あー! そうじゃない!」「何やってんの!?」とつい口を出したくなりますが、何とか言葉を飲み込んで、下手でもいいから自力で完成させることを大事にしました。まぁ、飲み込めなかった言葉もありましたけどね(笑) 大人なら2時間程度で出来る作品ですが、手を切り、べそをかき、1日がかりで何とか完成できました。

安田さん農事録

 

完成した作品がこちら。藁細工の俵でございます。
銀と赤の水引は話題の漫画「鬼滅の刃」の「煉獄杏寿郎」をイメージしたようです。形はいびつですが立派立派!! 煉獄さんのように真が強く、力強い作品に仕上がりました。
時間がかかっても自分の力でやり遂げたということが何より大事。長男も完成したときはご満悦の様子でした。

俵は昔から富の象徴とされてきました。宝船にも金銀財宝と一緒に「五穀豊穣」を象徴して俵が乗せられています。
また、俵を重ねたものは「家内安全」や「商売繁盛」を祈る縁起物とされています。コロナ禍においてこの両方は是非担ぎたい縁起物ですよね。
長男の力作! 今年一年しっかり飾らせてもらおうと思います。

さて、学校もあと3学期を残すのみとなりました。ここで休校になったらまた授業カリキュラムが変更になったり、卒業式が出来なかったりと、子供たちが悲しい思いをします。大人の不注意で子供を悲しませないためにも、「子供のために大人が注意する」気持ちを持ちたいですね。

変革の2021年。それぞれが知恵を出し合い、心穏やかな良い年にしていきましょう!

この記事を書いた人

安田大樹さん

北アルプスをのぞむ安曇野市は、1等米比率日本トップクラスの長野県を支える米どころ。25歳でお米農家を継いだ安田大樹さんは、おいしいお米を作り続けることが「ふるさと安曇野の景観を守り、地域を楽しくしていくことにつながる」と考えました。

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