中川さんの農事録
[中川さんの農事録]

おいしいブドウができるまでの農事録 第1回

新連載※長野県松本市の東部高原で各種のブドウを生産する果実農家の中川 敦さん(47歳)が、月々の農事を綴ります。

nakagawa_atsushi_prof.jpgごあいさつ

はじめまして。松本にある「なかがわ葡萄園」の中川 敦(なかがわ あつし)です。新規就農4年目で、どうにかこうにか他人(ひと)さまに食していただけるぶどうができるようになりました。

現在、デラウェアの圃場が都合3枚、巨峰の圃場が2枚、その他ピオーネ園が1枚(但しこちらは黄華に全面改植中)、プルーン・スモモ園が2枚で、合計約100アールの経営を行っています。ご縁があって今回この農事録ブログを担当させていただくことになりました。

一口に農事録と言いましても、一体なにをどのように書けばよいのやらしばらく思案していたのですが、このコーナー、主に東京など都会の方々、ぶどうはお好きでもぶどうの栽培の仕方など全く知らない方が多いと思うので、ズバリぶどう栽培のようす、おいしい(?)ぶどうが出来るまでの過程のあれこれをお届けしたいと考えました。

夏から秋にかけて、読者のみなさまがスーパーや果物店でぶどうを品定めする時、あるいは今からぶどうを食べようとする時、ふーむこのぶどうには1年間こういう手が入っていたんだな、grape1.gifなるほどこんな過程を経てできあがったものなんだなと、漠然とでもイメージしてもらえるようになっていただくことが最終目標です。

そんなわけで、これから1年間、みなさまどうぞよろしくおつきあいください。


本市東部、美ヶ原高原山麓(と言っても車で10分も走れば松本市街地。半都半農といったところです)の山辺地区は、日本でも有数のぶどう産地。有数というのは量ではなく"質"のこと。特に山辺ぶどうの代名詞であるデラウェアは市場で日本でも一二の高単価を誇るブランド品です。

で、ここは第2デラウェア園。自分の3つのデラウェア園の中では標高が高く、毎年一番最後に収穫をします。

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冬の仕事は"剪定"。ただ今デラウェアの剪定の真っ最中です。
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剪定前
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剪定後

定(せんてい)は、良い品質のものを作り上げていく過程の第一歩です。樹勢の強弱、木の若さ古さ、大きさ、生らせる房の数、枝の密度、将来考えている樹形、園の地形、これからの一連の仕事の効率性などを考えながら、枝を剪定ハサミで(太い枝はノコギリで)チョキンチョキンとやっていくわけです。

5〜7月はとにかく忙しく、他にほとんど余裕のない時期なのですが、今のこの時期はそれほど時間に束縛されることもなく、1本1本の木と静かな対話を楽しみながら、ゆったりとした時間を毎日フィールドで過ごしています。

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剪定で残した枝をよーく見るとほら!

かわいい芽がついていますね。ひとつの枝にこうした芽が4〜7つ、ついています(と言うより、4〜7つの芽を残して剪定します)。

4月下旬に発芽し、その芽が伸びて新梢となり、デラウェアはその1本の新梢から2つの房を生らせます。

この第2デラウェア園、昨年は10,500房の房ができたんですよ。デラウェアとしては晩期の9月収穫だったので極甘でした。

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昨年8月の様子。最後にはこんな風景になるんですよ。

ラウェアの剪定が終わったら、次は巨峰の剪定です。"種なし巨峰"です。2月のこの農事録では巨峰のようすをお届けする予定です。それではみなさま、ごきげんよう。

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長野県松本市の東部高原で各種のブドウを生産する果実農家の中川 敦さん(47歳)が、月々の農事を綴ります。

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