古田さんの農事録
[古田さんの農事録]

農業が好き!地域が好き!古田さんちの安曇野LIFE:13

古田さん農事録

 

連載を始めて2年目に突入しました。引き続きよろしくお願いいたします。

剪定はもうすぐ終わりそう。3月中に終わればいいだろうな、と思っていたので、まあ予定通りってところでしょうか。
先週は剪定を一旦お休みにして、りんごの定植に追われていました。
本来定植作業は、剪定が終わった後、ちょっと暖かくなってきてからやればいい仕事なのです。
しかし、実はりんご畑の若返りを促進するための補助金が用意されておりまして、結構お得に植え替えができますから、貧しい新規就農者としましては使わない手はありません。
で、補助金ですのでもちろん申請期限がございます。
そこに間に合わせようと、急いでいたってわけなんです。

りんごの定植を成功させるには・・・

昨年で役目を終えた木を切り倒し、抜根したのが年末。
年明けに整地して、植える準備は整えておきました。
そしてこちらが届いたりんごの苗。これで180本くらいだったでしょうか。
別の日に届いたものや自分で育てた苗も含めると250本くらい植えました。

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さて、今回は初めて高密植わい化栽培に挑戦してみます。
りんごの育て方、仕立て方にも様々な方法がありますが、高密植わい化栽培は比較的新しい方法で、初期投資はかかるものの、生り始めが早いため数年で回収でき、収量も多く、それでいて作業が簡単なんだとか。
本当は畑全面を同じ栽培方法にした方がいいんですが、まあ試しに、畑の一部でやってみようって感じです。

まず、植えるところに支柱を立てます。

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この支柱はメッキがしてあって、朽ちにくい仕様。丈夫じゃないとだめなんだって。お金かかる。。。
で、木と木の間は1m。
今まで育ていたわい化栽培は、1.5〜2.5mなので、かなりきちきちに植える印象になります。
でも、本来「ぐんま名月」や「シナノリップ」は0.5mが理想といわれているので、1mだとスカスカになっちゃう、と言われました。

その原因は、苗を注文するとき、ケチったから。
今となっては、長期的に見て損しちゃったな。。。と後悔しておりますが、独立経営開始初年度で、収入が入る前でしたから、投資するのが怖かったんだと思います。
投資すべきところには、きちんとお金をかける!のが大切なんだと、学びました。(前も同じこと言ってた気もする!)

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植えるときは、あまり穴は掘らずに根を置き、最終的にはしっかりと盛り土をします。
高密植わい化栽培に使用するM9という台木は、水に弱く根腐れしやすいので、水はけを良くするのが大切なんだとか。
あと大事なのが、接ぎ木部の高さを揃えること!
栽培方法に限らず、りんごは台木が地面からどのくらい出ているかで木の強さが変わってきます。
木の強さを揃えることで、実が熟す時期を揃えやすく、作業効率を上げるのが高密植わい化栽培のメリットの一つなので、全体を見つつ、高さを揃えながら植えていきました。

お手伝いさんに来てもらったこともあり、なんとか植え付けはスムーズに終了!
あとは、管理機や鍬で土寄せをしておきました。(まだのところもあるけど)

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植えた後は水をたっぷりあげないといけないんだけれど、ちょうど雨が数日間降ってくれたので(雪も降ったけど)作業が省けて良かったですね。楽だった〜。

ネズミ対策は永遠の課題

今回は高密植わい化栽培だけでなく、普通のわい化栽培用の苗も植えました。
こちらは、根っこはマルバカイドウで、その上にさっきのM9を接いで、その上に品種が接いであるもの。 M9が根っこになっているものよりも、大きく育ちます。

しかし、このマルバカイドウの根っこは、なんとなくネズミが好んでかじる気がしています。

ほら。これは一昨年植えた木の根っこ。

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残っているのはほぼM9から発生した根っこだと思われます。ひどいもんだ!!

ネズミ対策は永遠の課題だと思うんだけれど、定植時の工夫をひとつ、先輩農家が教えてくれたので、今回初めて試してみました。
それは、この畔シート。

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マルバカイドウとM9台木の苗は、先のM9台木と違ってちゃんと穴を掘って、植えます。
そのとき、根っこを下に出す形で、幹の周りに畔シートを巻きます。
「根っこは丸出しじゃん!」と思うんですが、なんでもネズミは表層に近いところを進んでくるらしく、幹や新しく生えてきた根っこにぶち当たるから、餌があると判断して頑張って根っこをかじるんだとか。
だからネズミが進む高さに畔シートがあれば、根っこがあることに気付かず、食害を予防できると教えてくれました。

ものは試し!

うまくいくといいのですが。

無農薬無施肥で「シェア農」

話は変わって、先日、仲間のりんご農家が開催したワークショップに参加してきました。
なすのさんちのシェア農」。
那須野君はりんご屋だけれど、無農薬無施肥で野菜や苗を作っている面白いやつ。
このワークショップは、勉強会というよりも、名前の通り、無農薬無施肥で野菜を作る畑と作業をメンバーでシェアする感じ。
もちろん知識は那須野君がしっかり教えてくれる。
これが面白いんだな!

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土と環境と作物が健康なら、外からの力は最小限でも収穫できるはず。
りんごだって、土と環境と作物が健康なら、病気にもかかりにくくなるんじゃないか。
農家が家庭菜園を勉強するのはちょっと珍しいかもしれないけれど、家で食べる用の野菜作りだけでなく、りんご栽培にも使える知識を得られたらと、月1のシェア農が楽しみな然なのでした。

開花を喜んでばかりもいられません

そして、りんごの最新情報をば。
ここ3日(3月25日~27日)ほど、20℃以上の暑い日が続いています。
花粉。。。も嫌な感じですが、(然はそんなにひどくないのですが、おそらくここ数年花粉症っぽい感じでして。)何より心配なのはりんごの生育!
早そう!だって関東では桜が10日も早く開花してるって言いますしね。
そして3月27日、膨らんできたりんごの芽の先っちょから、緑色の葉っぱが若干見え始めました。

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発芽日や開花日を作業の基準にするので、もし10日も早まったりすれば、かなり予定が狂っちゃうんです。
作業が早まるのはまだしも、また冷え込むようなことがあれば、水分を吸い上げている幹が凍って割れてしまったり、花の時期に霜が降りて障害が残ったりと、この時期の高温は心配だらけ。
やっぱり異常気象なんでしょうかね。。。
りんごを作り続けることができるのかさえ、心配になってしまいます。

餅を背負って祝1歳!

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最後に、うちの坊は来週1歳になります。
こないだ、両親と祖母と叔母を上諏訪温泉に招待したとき(経営開始したらやりたいことのひとつだった!)、餅を背負わされていました。(写真左)
家では、自分が遊ぶものや身に着けるもの、父親の愛読書を散らかします。

まあそんなもんなのでしょう。元気でよろしい。

日々の畑・りんごの様子やもろもろは、ブログ「りんご屋さん 弐七農園」もご覧ください。

それではまた来月、お会いいたしましょう。

この記事を書いた人

古田然さん

北アルプスのふもと安曇野市三郷小倉で3年間の研修を経て、2017年にりんご農家として独立した古田然さん。
農業が好き! 人が好き! 地域が好き! な古田さんが、安曇野の暮らしをつづります。

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