飯島さんの農事録
[飯島さんの農事録]

仲間と楽しく、農業を。飯島さんの農事録 第4回

飯島さん農事録

 

こんにちは!
7月の長雨は全国各地に大きな影響を及ぼしました。災害として大きな爪痕を残し、今もなお大変な思いをされている方々もいらっしゃることと思います。心も体も疲弊されていることと思うのですが、まずはご自身のお体を大事にされるようお気を付けいただきたいと思います。

さて、ここ上田市の武石地域にも例外なく降った7月の雨。「いったい今月は何日お日様の顔を見ただろう?」といった具合でしたが、8月に入ってからは全くと言うくらい降らなくなり、今度は「いつ雨が降ってくれるのだろう?」と言うことになっています。
7月の日照不足の影響により、トマトの色がつきにくくなってしまったり、もうすぐ収穫を迎えるはずだったジャガイモは多湿によって腐れが多くなったようですし、標高の高い地域で作られるキャベツは生育不良が起きている、ということを聞きました。おかげでお店に並ぶ野菜もかなり高騰してしまいましたね。
今回のような7月の長雨、そしてここ数年起きている大きな台風やゲリラ豪雨など、天気や気候といった地球環境に関わることは、この先もいつどのような形で起こるかはわかりません。しかし全て自然のせいにするのではなく、天気予報をはじめ、1つでも多くの情報を集め、事前に対策することで回避できるようにしていきたいと思っています。

 

管理はうまくいっていますか?

今回は悪い例を挙げてみようと思います。
こちらの写真を見てください。

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草刈り前

「このような状態にしてはいけません!」と言う例です。この写真を撮った後に草を抜き取りました。

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草刈り後

雑草をコントロールすることは、作物を栽培するうえで大事なことだと思います。どのようなところにも雑草と呼ばれる草の種は散らばっていると言えます。それらは非常に小さく弱いように見えますが、生命力が強く、一説によると10年以上も、土の中で芽を出す条件が良くなる時を待っている種類もあるそうです。それ以外に種を保つ方法として、一度にたくさんの種を残すことや、風などによって拡散しやすいような状態であることも、雑草が絶えない条件だと言えるのではないでしょうか。
でもどうしてそんなに嫌われるのでしょうか。それは育てたい作物の肥料分や水分を周囲に生えた雑草が奪ってしまう、ということと、病気や害虫の住処になりやすい、ということが理由として挙げられます。
お気づきの方もあるかと思いますが、私のアスパラの圃場は畑の土が見えません。全てオガクズで覆っています。これは以前皆さんに「問題」としてご紹介したポリマルチと同じような効果を狙っているためです。そのため毎年12月頃に大手のキノコ屋さんから大量のオガクズを運んでいただき、それを畑に入れています。同じようなことを切りワラやモミガラで行っている方もいます。

ただし、この方法には注意しなければならないこともあります。例としては、未熟な有機物は、分解される際に大量の窒素分を必要とすることです。要するにアスパラに施したはずの肥料が、オガクズの分解に使われてしまうのです。もう1つ、アスパラが好む畑の土の酸度はph6くらいが最適なのに対して、オガクズ自体が酸性側に傾いているので、石灰をまくなどの酸度矯正が必要になります。

余談ですが、草を活かした栽培方法もあるんですよ。「草生栽培」と呼ばれています。これは自分の作りたい作物とともに、草も一緒に育て共存させることでお互いの良い所を活かしていく方法、もしくは草を利用する方法だと言えます。「循環型農業」とも言われていて、ムギのようなイネ科の草やクローバーの様なマメ科の草を上手に使うことができます。果樹園なんかは良い活用例でしょうね。興味のある方は調べてみてはいかがでしょうか。

 

ウチの畑の居候

アスパラに薬を散布中、突然現れたのが写真の動物です。

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そう、モグラです。体つきもマルマル太っていますし、その先っちょにちょこんとくっついている小さな顔もかわいらしいのですが...、いやいや侮ってはいけません! 私にとっては非常に厄介なヤツで、アスパラの圃場のいたるところにトンネルを作ってくれています。モグラがアスパラの根っこ付近にトンネルを作ること自体、アスパラが養分を吸収しづらくなる原因となるので問題なのですが、このトンネルを使ってネズミがやって来て根っこをかじることがもっと問題なのです。
今のところ捕獲用の道具を使って捕まえることしか有効な手段がないのですが、なかなかうまくいかないのが現状です。

ほかにはこんな居候もたくさんいます。

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脱皮したてホヤホヤのカブトムシ。普通ならばクヌギの木などの樹液にいるのですが、ウチの場合はオガクズに卵を産みつけているのか畑にたくさんいます。その数はなんと販売したいほど...。

もう1つ、これまた厄介な「居候」がいるのです。それはアスパラに感染する「茎枯れ病」です。7月の長雨は病原菌にとって最高の環境だったため、雨を防ぐことのできない露地のアスパラの圃場では増え放題だったようです。もちろん、少しでも雨が止めば病気にかかった茎は取り除くようにしていましたし、薬を使った防除も行っていましたが、病気は感染していく一方でした。
病気が蔓延して困ること、それはこの先何年間も、このアスパラで収穫をしていくことにあります。この時期にしっかりと枝を伸ばし、葉を茂らせ、光合成をさせてあげることはもちろん、病原菌が根っこにまで影響を及ぼすことがないようにすることで、来年、再来年の収穫が変わってくるのです。
本来ならば9月下旬ごろまで管理をしながら収穫できるはずなのですが、露地の栽培に関しては収穫を止め、病気の茎や枝を取り除き、まだ伸びてきている新しいアスパラを伸ばすための整理を行いました。

 

ジャガイモも掘ってみました

4月に植え付けた種イモも8月ともなれば収穫期を迎えます。
今まではお取引先の業者様の農業体験として鍬で掘り起こし、出てきたイモを拾ってもらっていたのですが、ご存知のようにコロナの影響によって密になることを避けなければならないことから、今年はイモ掘り体験を中止させていただきました。
そうは言っても、ジャガイモは今か今かと収穫されるのを待っているわけです。そこでなんとジャガイモの掘り取り機を新調しました!

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機械整備中

実際使用してみて、我ながら良い買い物をしたと思っています。鍬で掘り起こさない分、とにかく楽になりました。しかも思っていたよりも腐れが少なくまずまずの収穫量でした。

 

これはなんでしょうか?

今回は、再び皆さんに問題を出してみようと思います。
写真を見てください。

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さぁ皆さん、アスパラにくっついているこの黄色いツブツブは何の昆虫の卵でしょうか?
ヒントはですね、この時期は暑すぎるせいかあまり見かけることはありませんが、5月、6月頃によく見かける小さくてすごく愛らしい昆虫です。
大ヒント! アブラムシを食べると言われています。
皆さん、もうお分かりになったと思いますが、答えは次回にしましょう。

 

秋の恵みを楽しみに

8月になり暑い日が続いているとは言うものの、このところ行っている作業といえば、アスパラの収穫と草刈りと言ったところでしょうか。なるべく朝も早い時間から始め、暑い時間はお昼寝。そして多少涼しくなってから動き出す、と言ったサイクルになっています。熱中症も怖いため水分もたくさんとっています。でもどうやら水分の摂取し過ぎでお腹がチャプチャプ言っているような気がする最近です。
皆さんにとっても暑い夏となっているわけですが、このように青空の見える日が続く中、なかなか遠くまで遊びに行けない短い夏休みだったようですし、帰省も難しいお盆だったようですね。各地では記録的な猛暑となっているうえ、この後の残暑も厳しくなりそうです。それを乗り切るためには、やはり毎日の食事は大切ですよね。まだまだ夏野菜の美味しい時期は続きます。そして暑さを乗り切れば甘くてみずみずしい果物が待っています。そのころにはキノコが出回るようになり、キラキラした新米が食べれるようになったかと思えば、次はリンゴが...。そんなこんなで当分の間、長野県の素晴らしい恩恵にあずかれそうです。そんな恵みを皆さんにも味わっていただけるよう、もう少しガンバってみようと思います。

この記事を書いた人

飯島正行さん

農業を行っている会社や農業に携わる組織で仕事をしていた飯島正行さん。そこで培った経験から「自分で農業がしたい!」と、上田市武石で就農して5年目になります。武石は水も気候も農業に適しているし、何より若手が多くにぎやかなのがいい!青年部の仲間とともに楽しい農業を目指します。

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