岩垂さんの農事録
[岩垂さんの農事録]

オレさまの安曇野 風雲 農事録 連載第36回

連載※長野県安曇野市三郷(みさと)地区で、農家家業をついでリンゴを作りはじめて8年目となる岩垂和明さん(42歳)が、幾多の押し寄せる誘惑や困難を乗り越えて時として風雲急を告げる月々の農事を綴ります。





しんしんしんしんと、

今年は良く降りますね、安曇野の雪。

年末以降寒い日が続き、

畑の雪がなかなか消えません。

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雪の消えないりんご畑



安曇野は長野県でもまん中あたりに位置し、
積雪はそれほど多くは無いのだけれど、
朝晩がとにかく寒く、
一度雪が降ると消えないことがよくあります。

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寒い!(+_+)


そんな中、
りんごの木のせん定作業が始まりました。

よく「りんご農家は冬の間何をやっているの?」
と聞かれることがありますが、
りんご農家など果樹栽培には、
冬でも「せん定」という重要な仕事が
あるのです。


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せん定鋏とかノコギリとか


さぁーて、
今日もせん定作業に行きますかねぇ。





ん定作業というのは、簡単に言うと木を切る作業なのですが、これが中々奥が深い。

基本は、

・全体に日当たりが良く
・作業がしやすく
・すべての枝に薬剤がかかりやすいように

木を切っていきます。

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スピードスプレイヤー(薬剤を散布するための機械)のような大型の機械も通りやすくしておかねば・・・

ただし、木はあまり切りすぎると反発し、木の勢いが強くなるので気をつけなければなりません。
また、逆に弱い木に対しては多く鋏を入れることで、木に勢いをつけさせます。

ひとつとして同じ木は無いので、せん定の仕方も一本一本違ってくる。

前の年におかしな切り方をした木は、次の年にはひねくれた状態になっていたりする。

ある意味、こちらの切り方に対して、良くも悪くも素直に反応するのです。

だから、ひとつひとつ木にどう切るのかを聞きながら切っていかなくてはいけない。

せん定とは、りんごの木との対話することだと言えるかもしれません。

この仕事をはじめた当初は、正直どの枝を切って良いのはわからず、鋏を持ったまま立ちすくんでおりました。

それでも数年を経て今、どうにかこうにか切ることができるようになりました。

まぁもっとも、親父には今でもブツブツと文句を言われますがね。^^;

親父からすれば、オレの切り方は「まだまだまったくなっていない。」ようです。

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雪の照り返しはスキー場並みなので、
せん定にサングラスは必携


ころで

せん定作業はあるにせよ、この時期は春夏秋に比べれば忙しくありません。

毎年オレはこの時期に、10日ほど休みをとってアジアを中心に旅に出かけていました。
バックパックに必要な荷物を詰め、航空券とパスポートとを持っただけの、自由なひとり旅です。

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特に国境沿いや国境を越えて国を渡り歩くのが好き♪


ただ、今年は色々と忙しく、事前に予定が組めませんでした。

今年は諦めようと思っていたところ、ここに来て数日なら時間がとれそうな感じになりました。
そこで、車にスキーと必要な荷物を詰め込んで、国内を旅して来ようと企んでおります。

狙っているルートは福島県を太平洋側から北陸へと横断し、新潟から長野県北部の栄村を通って帰るコース。

福島はみなさんご存知の通り、昨年3月11日の震災と津波、原発事故の被災地であり、栄村は3月12日の長野県北部地震の被災地です。

被災地を巡る旅。
そしてそこで、自分も楽しみつつ現地にお金を還元し、ほんの少しでも被災地へ貢献できたなら・・・

小さくても良いので自分たちのできること探していく、今年はそんな年にしていきたいと思います。


が明けたと思っていたら、もう既にひと月が過ぎようとしています。

いろいろと大変なことが多かった2011年。

今年2012年は、単純に良い年にしたいですね。

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今年の初日の出:今年が良い年になりますように!


レが担当する農事録も、今月から4年目に入りました。

もう少し続けさせてもらう予定となりましたので、どうぞ本年もよろしくお付き合いのほどをお願い申し上げます。

www.iijan.or.jp.jpeg


ということで、ではまた来月に!(^_^)/~



バックナンバー

● オレさまの安曇野 風雲 農事録 #35 - #1


あわせて読みたい

● I'm a farmer!(岩垂和明さんの個人ブログ)

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長野県安曇野市三郷(みさと)地区で、農家家業をついでリンゴを作りはじめて8年目となる岩垂和明さん(44歳)が、幾多の押し寄せる誘惑や困難を乗り越えて時として風雲急を告げる月々の農事を綴ります。

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