風さやか100%の日本酒にかけるJA職員の夢

日本酒 夢現

長野県産オリジナル米「風さやか」は、おにぎりやお弁当に大活躍の冷めてもおいしいお米です。
今回はそんな「風さやか」を100%使用した日本酒「夢現(ゆめうつつ)」を紹介します。
夢現はJA信州うえだ丸子地区事業部職員が栽培した風さやかを原料として、地元の酒造メーカーが醸造した「地元産」のお酒です。
誕生の裏側にはJA信州うえだ丸子地区事業部の努力と心温まるエピソードがありました。
小山元寛(こやま・もとひろ)事業部長にお話を伺いました。

農業体験を通じて職員と地域の方のつながりを深くしたい

JA信州うえだでは、核家族化により農業経験のない職員が増えており、2018年から職員の農業体験に力を入れています。
「当時、金融窓口などで組合員さんが農業の話を職員にしたものの、職員に農業経験がないため話が通じず、組合員さんをガッカリさせることがたびたびあり、残念でした」と小山さん。

そこで、丸子地区事業部では後継者のいなくなった農地を借りて、農業経験豊富な先輩職員や地元農家に教えてもらいながら4反(39.7a)ほどの面積の畑や田んぼで、トウモロコシや冬至かぼちゃ、米などを栽培する農業体験を始めました。
当初は若い職員が参加を嫌がるのではないかと心配しましたが、なんと若い女性職員が特に進んで参加してくれたそうです。中には「農業体験で先輩職員から学んだことを祖父に話すことで農業の話で盛り上がりました!」という職員もいました。
「職員が積極的に農業体験に参加してくれて、家族との温かいエピソードも聞けてうれしかったです」

日本酒 夢現

農業体験の様子(田植え)

風さやかの日本酒で地域を元気に!JA×酒造メーカーの挑戦

農業体験で収穫が上がると、丸子地区に元気が出るようないい加工品は作れないかと考えました。
そこでひらめいたのが風さやかで造った日本酒。
「『食べてよし、飲んでよしの風さやか』というのは斬新だと思いました」

日本酒は酒造好適米(酒米)から造るのが一般的です。酒米は酒になるデンプン質(心白)の部分が多く、デンプン質の間に微細な空洞がたくさんあるため発酵しやすいという特徴があります。
風さやかは酒米ではなく食べる用の米(飯米)ですが、「コシヒカリと比較して粘りけが少なく米粒が大きいという特徴があるから、できる!」と信じて、地元の酒造メーカー「信州銘醸」に相談しました。
「風さやかの日本酒というお願いに加えて、さらに純米吟醸酒で、日本酒初心者でも飲みやすい仕上がりにしてほしいとお願いしました」
すると、酒米から造っていないため純米吟醸酒を名乗ることはできないけれど、純米吟醸製法で造ってみますと了承していただけたそうです。
しかし、宿題も課せられました。
「純米吟醸製法では精米歩合を59%にして日本酒を造ります。粒が大きく胴割れしないように注意して風さやかを栽培し、搗精(とうせい)工場にお届けする必要がありました。ドキドキでした」
※搗精...玄米を精米にする研磨工程

日本酒 夢現

農業体験の様子(稲刈り)

初年度の2019年には、風さやか500㎏を収穫し、令和2(2020)年4月に日本酒「夢現」900本(720ml)を醸造しました。
信州銘醸さんのご尽力のおかげで、米麴も含めて風さやか100%、低温純米吟醸製法で造られた本格的な日本酒になりました。日本酒初心者でも飲みやすいやや辛口で、香りが穏やか、スッキリとしたのどごしが自慢です。

日本酒 夢現

完成を祝う(左から)掛川丸子営農センター長、信州銘醸滝澤社長、小山事業部長、清水事業部次長

本年(2021年)は2年目の挑戦です。
従来の夢現(650本)に加えて、新たに搾りたての生原酒「夢現槽口直汲み(ふなくちじかぐみ)」(200本)を製造しました。
「地域の方が楽しみにしてくださったおかげで、『夢現槽口直汲み』は販売開始前に予約完売しました。現在は夢現のみ販売しております」

日本酒 夢現

写真左・夢現、右・夢現槽口直汲み

夢現という名前には「夢を現実としてかなえる」という意味が込められています。
「『夢』とは、消費者と農業者の互いの顔が見え、話ができる関係となることです。関係性を築くことで消費者が購入するきっかけになると思っています。最終的には農業と商工業とともに、地域も元気にしたいですね」

地元のJAと酒造メーカーがコラボして造ったお酒を地元の消費者が飲む、地域全体が元気になる素敵な取り組みです。

これからも夢を追い求めていきます!

JA信州うえだ丸子地区事業部では、これまで地元の方々と農業体験イベントを実施していましたが、令和2年度はコロナ禍により実施できませんでした。
「令和2年度は企画していたものの中止となり残念でした。令和3年度以降は地域の方と一緒に風さやかを栽培したり、酒蔵を見学したりする参加・体験型イベントを実施したいと思います」

農業体験や夢現の企画などはすべて職員の発案がきっかけでした。同事業部では普段から雑談などを通じて職員から意見を聞いているそうです。
事業部の温かい雰囲気や、一体となって活動している様子が伝わりますね。

地域を元気にすべくこれからも頑張ってください。

日本酒 夢現

パッケージの夢現の文字は職員が手書きしたもの

【夢現が購入できる場所】
JA信州うえだ丸子地区事業部西内店
住所 長野県上田市平井1741-1
TEL 0268-44-2311
営業時間 平日8:30~17:00

「夢現」(720ml)1,500円(税込)
※数量に限りがありますのでお早めにご購入ください。

こちらは の記事です。
農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

この記事を書いた人

ゆっけ

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