果物

その名を「ナガノパープル」と申します

naganopurple.jpgさあ、どうですか、これ。一見しただけでは「巨峰」との違いが分からないかもしれない紫色で大粒のこのブドウ。おいしそうでしょう? 歯切れがよくて、おいしいのです。種もありません。種なしの巨峰との大きな、そして決定的な違いがあるとすれば、さよう、このブドウは皮ごと食べられるというところでしょうか。これ、その名を「ナガノパープル」といいます。しいて飜訳すれば「長野紫」であります。

この名を忘れないでください
このブドウは長野県果樹試験場(須坂市小河原)で開発され、品種登録されたばかりの、まだ新しいブドウです。そしてこのナガノパープルが、ここへきてにわかに注目を浴びはじめているのです。

新しい時代のはじまりを告げるブドウの誕生
ナガノパープルは、「巨峰」と「リザマート」という2種類のブドウを交配して育成されました。長野県果樹試験場のウェブサイトに書かれていることによると、できたのは平成2年のことのようです。平成16年には品種登録がされ、現在は長野県内のみでしか栽培することができません。

近年、「ブドウは食べたいけど、皮をむいたり種を出したりするのが面倒で」という消費者の声がかなりの高まりを見せており、そうした方々の要望に応えるべく誕生したナガノパープルですから、まったく手を汚すことなくおしゃれに食べられ、食べ終わった後も軸しか残らないため、ゴミもほとんど出ません。

一房で赤ワイン一本分のポリフェノール!
しかも皮ごと食べられることの恩恵は「ゴミが出ない」「手が汚れない」だけではないのです。そもそもブドウの皮にはポリフェノールの一種「レスベラトロール」が豊富に含まれており、この物質はブドウの果実の場合、皮にしか含まれていないとか。長野県中信農業試験場の研究では、ナガノパープルひと房を食べると、場合によっては、赤ワイン1本分(720ミリリットル)と同程度のレスベラトロールを摂取できるとされています。

budou-np2.jpgナガノパープルを作る人
北信州にあるJA須高の管内でこのナガノパープルを栽培している小池捷一(こいけしょういち)さん(右写真)は、平成12年に県の果樹試験場から試験栽培を依頼され、導入をしました。昨年度は700〜800キロほどを生産し、今年は2トンの生産量を目指す管内でも随一のナガノパープル生産者です。

「まだまだ新しい品種で栽培技術も確立されていません。ハウス内の温度設定などJAや果樹試験場の先生方と相談しながら試行錯誤で栽培している毎日です」と小池さん。他品種に比べ裂果(果皮が裂けること)しやすいため「出荷を目前に控えたときに裂果が発生するのが一番つらい」と栽培の苦労も教えてくれました。その一方、ナガノパープルの味の良さはおりがみ付きということで、「食べてもらえばおいしさが絶対にわかってもらえる」と言葉に自信のほどをあらわします。

皮ごと全部食べられるというと、「皮は無いにこしたことはない」という印象を与えるかもしれませんが、実際に食べてみると、この皮のシャリシャリ感が果実のうまみを一層引き立てているという感じです。また、さっぱりとした甘味でくどさがなく、1人で1房くらいは平気で食べられそうです。小池さんのお孫さんもナガノパープルが食卓にのぼるようになってからというもの巨峰からナガノパープルへ乗り換え中だとか。

ご安心を、農薬はかかっていません
6月末から7月上旬までの出荷で最初のハウスものは終わり、いまは7月下旬から8月初旬に出荷されるハウスものの第2弾が収穫のときを今か今かと待っている状態(下写真)です。小池さんのハウス内で栽培されるナガノパープルは、実が止まってからは、消毒をしないため、果実面にはいっさい農薬はかかっていないそうです。

budou-np3.jpg今日も栽培技術の研究は続いている
このナガノパープル生産の一大産地を目指しているのがJA須高。昨年度JA管内では、ハウスもの、露地もの合わせて1200ケース(1ケース/4キロ)を出荷しました。担当のJA須高営農部島田智仁(しまだともひと)さんによると、今年は最低でも6000ケース(同)を見込んでいるそうです。

これまで、須高管内のブドウは巨峰が中心で、数字的にも97%が巨峰でしが、この巨峰一辺倒から脱却しようとして選んだ新たな品種が、ナガノパープルだったのです。

現在、JAのブドウ担当者ら12人が前出の小池さんの圃場(ほじょう)でナガノパープルの樹を借り、日々栽培技術の研究をしています。裂果しやすい品種のため、降雨により裂果が進むことから、ナガノパープルの導入にはハウス栽培が適しているとされていますが、島田さんは「雨よけがなくても栽培技術で裂果しにくく出来るよう研究を進めたい。地元で開発されたナガノパープルを世に送り出していきたいと考えています」と産地化に向けた想いを話してくれました。

ナガノパープルを見逃さないで
まだまだ新しくて、栽培技術も完全には確立されていないナガノパープルですから、出荷流通もようやく一昨年からはじまったところです。生産量も拡大の途上で、今のところこのナガノパープルは、東京、名古屋、大阪の都市部を中心にしたフルーツ専門店でしかお目見えできないような状況です。

ただし9月上旬になって露地ものの出荷がはじまれば、お近くのスーパーマーケットなどでも見かけることができるようになるかもしれません。生産者や関係者の努力の積み重ねによって、一日も早くこれがより身近な存在になるよう期待したいものではありませんか。

ナガノパープルはぜつたいに食べてみる価値アリのお勧めの逸品です。まだまだ生産量が少なく希少価値が高いので、もし見かけることがありましたら、是非ご賞味のほどを!

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農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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