野菜

干し野菜歴20年の達人を訪ねました!

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その地域ならではの恵みを生かして創り出され、時代を超えて受け継がれきた「文化」。
ここ信州には、凍り餅や寒天など、古くから「干す」文化が存在しております。
今回は、信州の伝統的な食文化のひとつである「干し野菜」についてご紹介します。


美しい村・鬼無里へ
やってきたのは長野県の北部に位置する長野市鬼無里地区。
「谷の都」とも呼ばれているこの土地は、日本百景の奥裾花渓谷や、日本の秘境100選に選ばれている奥裾花自然園などがあり、四季に合わせた素晴らしい景観を見せてくれます。
また、標高差が激しい中山間地の村でもあり、降雪量は多く、4月現在もまだ所々に雪がありました。

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長野市鬼無里地区

今回取材協力してくださったのは、20年間干し野菜を作り続けている戸谷君子さん・公暢さん夫妻です。

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戸谷さん夫妻は、食べきれない野菜のほとんどを干しています。また、皮もむかずに太陽に干しているので、一切の無駄がないことに加えて素材そのものを味わうことができます。
「干し野菜は工夫次第でなんでもできるので、型にはまらず楽しみながら自宅でチャレンジしてみて下さい」と笑顔で話してくれました。

「干す文化」は暮らしの知恵
そもそも干し野菜とはどんなものなのでしょうか。
干し野菜とは、その名の通り野菜を太陽に当てて干したもの。干して水分をなくすことで野菜を長持ちさせることができます。

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昔は、野菜の貯蔵方法のひとつとして用いられ、保存食として重宝されていました。当時は、現在のように一年中野菜が売られていたわけではないので、夏に乾燥させておいて野菜の少ない冬場に食べていたというわけです。まさに先人たちが生み出した知恵であり、文化ですね。

簡単・便利☆
干し野菜で旨みと栄養をUP!

干し野菜は、保存がきくほか、保管場所に困らないのも主婦にとって魅力のひとつ!

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さらに、干すことにより、野菜特有の青臭さが消えるだけでなく、甘みや旨みが凝縮されます。
また、太陽に当てることにより野菜にビタミンDが加えられ、繊維やカルシウムなどを吸収しやすくしてくれる働きをもたらしてくれます。これらに加え、干し野菜独特の風味や歯ごたえが楽しめるなど、干し野菜には"生"にはない魅力がたくさんあります。

オクラの粘り気もちゃんと残るんです。
干し野菜は、携帯食やお茶請けなどとしてそのまま食べることができます。農作業の休憩中に「おやつ」として、あぜ道に腰を下ろし、青空を見上げながら食べる農家の方も多くいるとか。素材の味をそのまま味わう、まさに農家さんならではのおやつですね。
他にも、干し野菜をそのまま炒めて調理したり、水に漬けることで通常の野菜の状態に「戻して食べる」ことも可能なんです。

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ナス(手前)、切り干し大根(左)、かぼちゃ(上)、煮物(右)、これらはすべて干し野菜を戻して調理したものです。

干し野菜は近年、保存食と同時に「健康食品」として注目が集まりつつあります。

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従来の干し野菜は、野沢菜・かんぴょう・大根などが主流でありましたが、現在は玉ねぎ、トマト、いんげん、タケノコなど、その種類は多種にわたります。例えば、干しオクラ。なんと、元に戻すと、粘り気もちゃんと残っているんです。

干し野菜の作り方&失敗しないコツは?

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干し野菜は、カットした野菜を日当たりの良いところに置くだけで、家庭でも簡単に作ることができます。カットの厚みや野菜の種類によって若干の変化はあるものの、天気が良ければ2〜3日もあれば乾燥します。ただし、長時間片面を干し続けると、くっついてしまうので、乾燥したらすぐ裏返すのが理想です。ご家庭でもお試しください。

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こちらは の記事です。
農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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