加工品

ダンボールでミネラル豊富な堆肥づくり

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すでに行われている方もいるでしょうか、生ゴミを使った堆肥づくり。生ゴミは捨ててしまえばただのゴミに終わりますが、再利用しようと思えばそこから新たな生命を育んでくれるもの。そして嬉しいことにその生ゴミを使ってつくった堆肥からは、とてもおいしい野菜ができるのだとか。なかでも経済的に始められるのが、ダンボールを使った堆肥づくりでしょう。

「わざわざ堆肥から野菜をつくらなくても、買った方が楽でいいわ」と思う時もありますが、手間を掛けて自力でつくった野菜は格別のもので、手間以上の歓びが味わえること、きっと間違いなし!ついては事始めに、南佐久郡南相木村の女性部の元へと出掛けました。南相木村の女性部では、そんな生ゴミを使った堆肥づくりを既に10年程前から行っているのだそうです。

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南相木村の女性が手がける野菜は
冬場でも生き生き!

今回訪れたのは標高1,000メートルの高冷地。目の前には南アルプス八ケ岳、そして蓼科山が間近に見渡せるというなんとも眺めのいいこの場所は、晴れの日数は多いものの冷え込みは厳しく、最も寒い時期にはマイナス20度にもなるそうです。まずは、生ゴミ堆肥を使ってつくった野菜があるという場所へ、女性部員のひとり、中島千加恵(ちかえ)さんに案内してもらいました。

「最初は、こんな冬の寒さの厳しい場所で野菜をつくれるなんて思ってもみなかった」と話す中島さん。冬場の野菜のない時期用としてつくったという野菜は、小松菜、ターサイ、水菜に冬菜など、青々とした野菜が種類も豊富に今でも葉っぱを繁らせているではありませんか。冬の寒さにあって早朝、カチコチに凍っているこれらの野菜は、日差しと共にゆっくりと氷が溶け、日中になると背筋をシャキッと伸ばし、みるみる元気な様子になっていくのだそうです。なんとハウスの中は暖房をたかず、しかもビニールハウスで畑全体を覆うのは、一年で一番寒い時期に年に数回だけ、さらに水やりだって一切なしといいます。

ゴミを分解してくれる微生物の力でふかふかの土
005-R0021214.jpgこんなふうに中島さんらが行っている野菜づくりは、冬場にわざと寒さに当てて育てる「耐寒野菜」と呼ばれる方法です。寒さに耐える野菜をつくるためには、品種選びや種を播く時期、苗の移植時期等々、見極めのコツが必要とのことですが、そんな寒さに強い野菜が育つのも、源の土に生命力があるから。そう、この土こそがダンボールでつくった堆肥を使用して育てられた土なのです。
たとえば、人の手が入らない山中で、うっそうと葉を繁らせ、毎年当たり前のことのように大自然を形成している森の力に驚くことがあるでしょう。そこには動植物などと共に、その死骸や糞などを栄養分として食べ、分解しては生命維持に必要なものをつくりだす微生物などの存在があるのです。それと同様に、微生物の働きを活用してつくる堆肥が、今回ご紹介するダンボールを利用してつくる堆肥です。微生物によって生ゴミを分解してミネラルを生成し、そのミネラルがたっぷりと含まれた堆肥を混ぜた土はふかふかになって、そこから味が濃くておいしい野菜がつくられるのだそうです。

008-R0021227.jpg土が食べ物をつくり
食べ物が人をつくる

健康を保つのに欠かせない野菜。しかし今、その野菜に含まれる栄養素が昔と比べて格段に減少しているといわれています。なかでもカルシウムやマグネシウム、リン、鉄、亜鉛などのミネラルは生命維持に欠かせない、体の機能の維持や調整に重要な役割を果たすものですが、このミネラルが野菜に不足しているといわれる原因のひとつが、土壌においてのミネラル不足。そして、ミネラルの少ない土壌からつくられる野菜も、それを口にする人間も、もちろんミネラル不足となるわけです。ただでも野菜の摂取が少ないことが問題視されている現代であるのに...。

009-R0021230.jpg土づくりから「地産地消」
子どもたちにおいしい野菜を

畑を持っていない方にとっては、プランターなどで少しだけつくる野菜が、きっと日々の生活に歓びをもたらしてくれるでしょう。また、ミネラルが豊富にある土壌で育てた野菜は、食べておいしいだけでなく、私たちを健康に導いてくれるものです。野菜づくりのシーズンも目前、今年は土づくりにもこだわって、健康でおいしい野菜を自分でつくってみてはいかがでしょうか。南相木村女性部のメンバーも参加する南相木農産加工研究会では、この栄養いっぱいの堆肥を使ってつくった野菜を学校給食として子ども達に毎年届けているそうです。

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それでは、ダンボールを使った堆肥づくりをご紹介します!

■準備するもの

 段ボール箱(みかん10キロ入りくらいのもの)
 腐葉土...5キロ
 米ぬか...3キロ
 新聞紙...朝刊1日分くらい(少し厚めに)
 ガムテープ、すのこ板、箱にかける布、紐

 生ゴミ...500グラム(1回につき)
 米ぬか...2〜3つかみ(1回につき)

■作り方

001-R0021207.jpg1)段ボール箱のふたを立てて、四隅の内側と外側をガムテープでしっかりと貼り補強します。段ボールの底に、底と同じ大きさに厚めの新聞紙を敷きます(湿気予防)。

2)腐葉土と米ぬか3キロをよく混ぜ合わせ、箱に入れて床をつくります。

3)床の中央を少し掘って穴を開け、そこに水気をよく切った生ゴミを入れます。さらに米ぬかを2〜3つかみ加えてスコップでよく混ぜ合わせます。一日に1回は空気を入れながら切り返しすると、2〜3日で発酵してきます。触ると熱いくらい(40〜60℃)になって湯気が立ち水分が蒸発してくればいいでしょう。以降、生ゴミを1回につき500グラムと米ぬかを2〜3つかみ加えて混ぜ合わせます。

010-R0021241.jpg4)段ボール箱はすのこ板の上に置き風通しを良くして保管します。また上から虫が入らないよう布を掛けて紐で止めます。雨が当たらず、風通しと日当たりのいい軒下やべランダに置くのがいいでしょう。

5)ダンボールがいっぱいになったら3〜4割ほどを別の箱に移し、最初に作った箱の中身は時々スコップで全体を混ぜながら一か月ほど乾燥させ、畑の土と混ぜて使いましょう。新しく作った箱には、移した堆肥を床にして、生ゴミと米ぬかを都度加えて混ぜ合わせます。内容物が乾燥しているようであれば、米のとぎ汁や廃食油を投入して湿り気を与えましょう。


【こんな時はどうする!?】

Q1:匂いが気になるときは...
魚や肉などの投入量が多いのが原因。米ぬかを多めに入れたり、脱臭効果のあるくん炭やハーブを入れましょう。

Q2:温度が上がらず発酵しない時は...
気温10℃以下になる冬場は特に発酵が進みにくくなります。そんな時はペットボトルに熱湯を入れたものを中に埋めましょう。また、微生物の働きを活発にするために、米ぬかや廃油を加えて発熱させるといいでしょう。さらに乾燥気味の時も分解が進まないので、コメのとぎ汁を加えて適切な水分を保ちましょう(手で握った堆肥の塊をつついた時に、くずれるくらいが目安です)。

Q3:生ゴミとして入れてはいけないものは...
微生物が分解できないプラスチックや金属類、ゴム製品は入れないようにしましょう。

Q4:水分が多い場合は...
水分が多いと腐敗して嫌な臭いやウジ虫が発生することがあるので、米ぬかを多めに入れて水分を調整したり、廃油を加えて熱を出し水分を蒸発させましょう。


こちらは の記事です。
農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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