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信州VS遠州 絶対負けられない大人の綱引き

峠の国盗り綱引き合戦

秋も深まる10月下旬。長野県の南端に、町をあげての絶対負けられない戦いがありました。その名も「峠の国盗り綱引き合戦」。

1mの国境が移動する

峠の国盗り綱引き合戦

毎年10月の第4日曜日になると、静岡県と隣接する南信濃村(現:飯田市)と静岡県水窪町(現:浜松市)が県境(国境)である兵越峠(ひょうごしとうげ)にて、国境をかけて綱引きで対戦します。勝った方は1m国境を相手方に移動できるという、ユニークなお祭りです。といっても、実際に地図上の県境が移動するわけではなく、国土交通省の方の立ち会いのもと行われますのでご安心ください。

峠の国盗り綱引き合戦

国境線(第31回)

この戦いの始まりは昭和62(1987)年、双方の商工会青年部の交流として綱引きをすることになったのがきっかけです。ただ綱引きをするのではなく、「国境をかけて勝負しよう!」というアイデアから、令和元(2019)年で32回目を迎える恒例のお祭りとなりました。
長野県は言わずと知れた内陸県。兵越峠から遠州灘までの直線距離で、信州軍が連勝し続ければ6万5千年後に太平洋が信州にやってくる計算になります。逆に、9万連敗してしまうと、遠州軍(静岡県)に諏訪湖を盗られてしまう計算になります。信州軍は「太平洋を信州に」を合言葉にこの戦いに臨んでいるのです。
平成30(2018)年の第31回大会までは、信州軍が3m勝ち越し。今年も太平洋に向けて国土を広げます。

友好は友好、勝負は勝負

峠の国盗り綱引き合戦

兵越峠で迎えた戦いの朝、「嵐の前の静けさ」のような緊張感に包まれ、観客もドキドキしてしまいます。日が昇るにつれてギャラリーの数も増えたころ、両商工会議所の綱引き部長の開会宣言により、ついに戦いの火蓋が切って落とされました。

信州軍・遠州軍それぞれの大将を務めるのは、双方の市長。
遠州軍大将・鈴木康友公(浜松市長)「さて、正式な挨拶はここまで。友好は友好、勝負は勝負。令和最初の勝負は大変重要、この一戦にかける遠州軍の熱意と思いを勝負で表していきたい」と挨拶すれば、信州軍・牧野光朗公(飯田市長)も負けじと「信州軍がまさか令和の最初に負けてしまっては、若武者たちに顔向けできない。たいへん鈴木市長には申し訳ありませんけれども、そんな思いでやらせていただきます」と売り言葉に買い言葉、両軍大将の挨拶も熱が入っています。

峠の国盗り綱引き合戦

飯田市長

峠の国盗り綱引き合戦

浜松市長

この合戦を見届けるのは、東三河の豊橋市の金田副市長。というのも、豊橋市(愛知県)を中心とした東三河、浜松市(静岡県)を中心とした遠州、飯田市(長野県)を中心とした南信州の3地域は県境を越えた「三遠南信地域」として連携をとっている関係でもあるため、平成29(2017)年から豊橋市が行事役を担っています。

峠の国盗り綱引き合戦

互いの健闘を祈る両軍大将

鳥肌が立つ本気の綱引き

峠の国盗り綱引き合戦

信州軍入場

いよいよ選手の入場です。
士気を高める音楽とともに、一人ひとり紹介されながら選手が入場してきます。地元の学校の先生や市役所勤務の方、地元お豆腐店の社長など、それは様々。みんな職場は違えど、この日のために仕事終わりに集まって特訓を重ねてきており、気合十分の闘志に燃えた眼をしています。

峠の国盗り綱引き合戦

両軍による口上が延べられ、さらに士気が高まったところで、両軍の代表者による場所決めジャンケンが行われたのち、いよいよ3本勝負の始まりです。
両軍が綱を持ち、均衡になる力で引き合い、中心に合わせます。行司の合図で2分間の勝負が始まりました。

峠の国盗り綱引き合戦

信州軍

峠の国盗り綱引き合戦

遠州軍

ギャラリーからは「頑張れ、頑張れ」「そーーれ!」の声援も飛び交います。時間を計りながら、勝負の仕掛け時を見計らう指揮官からは、「15秒! 15秒!」「このあと、いくぞ!(勝負を仕掛けるぞ)」「おい、足元見るな!」と指示が飛び、選手の間でも「もっと声出せ!!」といろんな言葉が聞こえる中、ピストルの「パァン」の音で1回戦目が終了。1回戦目は遠州軍が勝利。

2回戦目で落とせば、後がなくなる信州軍。水分補給や靴のスパイクを整えながら次の作戦会議です。
「もっと声出していこう」
「おらぁ、気合入れるぞ!!」
場所を入替えて2回戦目が始まります。

峠の国盗り綱引き合戦

2回戦目は、両者どっちも譲らず引き分け。
「いいよ、いいよ、負けてないよ」
「真ん中がんばれ、真ん中」

再々試合の結果は・・・

峠の国盗り綱引き合戦

そして迎えた再試合、これまた引き分けゾーンに中心点が入っていたため引き分けに。毎試合、死闘を繰り広げる選手たちにも疲れが見え、あとは体力と気力、どちらが長く保てるか、それだけです。
選手の身体を考慮し、再々試合は少しでも中心点から振れていた方が勝利となることを取り決め、再々試合が始まりました。本当の意味で後がなくなった信州軍、一層気合が入ります。綱の先頭で敵陣と向かい会いながら戦うリーダー、お尻・背中を地面に付けんばかりに引っ張る選手達。
取材として観覧していましたが、大人が、本気で、真剣に、綱引きをしているのを間近で初めて見て、涙が出るような、鳥肌が立つような感動をしました。
再々試合の結果は、遠州軍に軍配が上がり、32回大会は遠州軍の勝利で幕が閉じました。

峠の国盗り綱引き合戦

閉会式では、負けた信州軍大将が立て札を支え、遠州軍大将がカナヅチで打ちつける国境移動が行われ、無事に32回大会が終了しました。

峠の国盗り綱引き合戦

今回信州軍は敗北したため、1m遠州側に退行し、2m勝ち越しになりました。太平洋への夢は1m遠のきましたが、選手たちの戦いを見れば胸が熱くなること間違いなし。海(諏訪湖)が手に入らなくても感動的な戦いです。
次の第33回大会は、令和2(2020)年10月25日(日)の予定です。

峠の国盗り綱引き合戦(信州遠山郷観光協会Webサイト)

峠の国盗り綱引き合戦

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