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世界が注目する「昆虫食」伊那市でザザムシ捕りを体験!

昆虫食

度々「長野県のおいしい食べ方」で紹介してきた、長野県の虫を食べる文化。「食べ過ぎると鼻血がでるぞ」といわれるほど栄養豊富な虫は貴重なタンパク源でもあり、イナゴや蜂の子、ザザムシなどが昔から食べられてきました。いまでもその文化は根づいており、スーパーで普通に陳列されていたり、お土産屋さん、居酒屋では酒のつまみとしてもメジャーです。

この道40年のベテランと漁へ

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中村昭彦さん

訪れたのは、中央アルプスと南アルプスに囲まれた伊那谷に位置する長野県南部の伊那市。諏訪湖から静岡県を通って太平洋へ流れ込む天竜川が流れています。
訪れたのは、ちょうど立春。一年で一番寒い時期と言われますが、温かな日差しがさす日でした。
今回ザザムシ捕りを教えてくれるのは、天竜川でザザムシを捕りはじめて40年ほどという中村昭彦さん(75)と、たまたまお手伝いで参加していた中條隆さん(68)です。中村さんは、子どものころから食べ親しんでおいしかったことと、一緒に漁をする仲間がいたことをきっかけにザザムシ捕りを始めたのだそうです。

天竜川で力強く生きるザザムシたち

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さっそく川に入ってみましょう。今年は暖冬傾向ですが、長靴を通して水の冷たさが伝わってきます。
ザルを覗いてみると...、ザザムシがうじゃうじゃ! 小さいですが何百匹もクネクネと動いていると迫力があります(汗)。その中の一匹を取りあげてみましょう。

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この翡翠色をした虫がザザムシの一種「ヒゲナガカワトビゲラ」です。ザザムシって「ザザムシ」っていう名前の虫のことではないの? と疑問に思いますが、ザザムシという名前は、浅瀬で川が流れる「ザーザー」という音からとって名付け総称された、トビゲラやカワゲラなど幼虫期を水中で過ごす昆虫の幼虫のことを指します。

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こちらは、ヘビトンボの幼虫で「マゴタロウムシ」。見た目は小さいムカデのようです。「食べると香ばしくてトビゲラよりもおいしいんだよ」と中條さん。種類によって味が違うなんて、それはぜひとも食べてみたい! マゴタロウムシは古くから漢方薬として使用されており、子どもの疳の虫の薬としても重宝されていました。

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頑丈な巣穴

トビゲラの仲間は、水中に卵を産み、卵から孵った幼虫は大きな石の裏などに、自分で糸のようなものを分泌して小石をいくつも繋ぎ合わせて巣穴をつくり、ケイ藻類などを食べて育ちます。繋ぎ合わされた巣は想像以上に頑丈で、逆さにしても剥がれ落ちません。この強度のおかげで、水流に負けずにとどまることができるのですね。

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四つ手網

ザザムシ捕りでは、三方と底に網を張った「四つ手網」「万能鍬」、捕ったザザムシをふるい分ける「選別器」を使いますが、四つ手網と選別器はお店で売っていないため自分で作っているそうです。

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虫踏み

四つ手網を下流側に置き、上流側では万能鍬を使って川床の石をひっくり返します。ひっくり返しただけでは、丈夫な巣を剥がすことができないため、足で石を掻いて巣を剥がし取る「虫踏み」を行います。巣から出されたザザムシたちは流されて、四つ手網にキャッチされるという仕組みです。四つ手網のザザムシは選別器でふるわれて、石や葉っぱを取り除いたあと、ネットに移し入れて持ち帰ります。

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選別器

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ネットに移し入れる

ザザムシは、伊那市の天竜川漁業協同組合が管轄する水産資源のひとつで、漁は許可制になっており、漁ができる期間は12月~2月末日に限られています。冬期に限定する理由は、幼虫老熟期で脂がのるためおいしいから、といわれていますが、「水温が4℃以上になると、虫も活発に動き始めてエサ(藻など)をたくさん食べるようになる。そうすると、臭みが出てきておいしくないんだよ。だからおいしく食べることができる、2月末までが漁解禁日になっているんだ」と中村さん。

温暖化や異常気象の影響が...

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「今日は少ない」と中村さん

毎年の河川の状態で漁獲が変わるので、虫踏み許可を受ける人数も変わります。中村さんによると、数年前は70~80人いたそうですが、ここ数年は減少傾向で今年は10名ほどだそうです。というのも、近年は産卵が終わった10月頃に台風がやってくるようになり、台風で川床が荒れ、虫が流されてしまうため捕れる量が少ないためです。今シーズンも例外ではなく、取材日もたくさん捕れているように感じましたが、中村さんが「今日は少ないほうだよ。捕れる年はネットいっぱいまで捕れるんだ」というように、昨年10月の台風の影響を受けていました。
「台風がなければいいんだけど...」と中村さんは心配しています。温暖化や異常気象によって季節が早まったり、遅くなったりすることは、伝統的な風習や地域文化の保存にも影響を及ぼしているようです。

ザザムシってどんな味?

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捕ったザザムシは、中村さん宅でさっそく調理します。お湯で2、3分茹でると、さっきまで翡翠色だったものがピンク色へと変化します。茹で上がりはホカホカで、アサリの酒蒸しのような匂いがします。この時点ですでにおいしそうですが、食べられる虫(食べておいしい虫)と食べられない虫(食べてもおいしくない虫)をより分けてから、しょう油で甘辛く煮て佃煮にします。
食べてみると...、捕りたての虫を見たときには、身がブニュッと出る感覚を想像していましたが、想像とは違い、引き締まったほどよい歯応え。味付けがしっかりしているので虫本来の味も感じず、おいしい! おなかいっぱい食べるようなものではありませんが、ご飯のお供や酒の肴にいいですね。

伊那市を中心に長野県の高級珍味として愛されているザザムシは、地域の伝統的な食文化として代々受け継がれていました。

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