巳年に会いたい、集落を救った蛇の石

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年賀状を書く時期になりました。来年の干支は何でしょうか? 今年は辰年です。
「ねーうしとらうーたつみー......」
来年は"みー"ですね。
ということで、信州で"みー"に縁のある場所はないいか? と考えた編集部員は、川に寝そべる"みー"に似た不思議な石「蛇石(じゃいし)」があるとの情報を思い出し、一路、南信州に位置する上伊那郡の辰野町へと向かったのでした。
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川の中に大きな蛇が!
蛇石は、辰野町にある蛇石キャンプ場のすぐ横にありました。川の流れに沿って、蛇腹のような模様の長細い石が横たわっています。なるほど、これは蛇みたいに見えますね。

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最も蛇腹模様がはっきり見える箇所が雪と氷で隠れていたのは残念

国の天然記念物なのです
文化庁や教育委員会による案内板の文句から引用しますと、「水成岩である黒色粘板岩の成層面に沿って火成岩の閃緑岩が迸入(へいにゅう)して岩床を形成し、この岩床をペグマタイト質の石英脈が、規則正しく百数十貫入しているものである。」と、その形成について説明しています。要は、川底に長細く露出した岩脈に、白っぽい石英脈が直交してほぼ等間隔に並んでいる様が、まるで大蛇のように見えることから、蛇石と呼ばれているようです。水による浸食で岩脈の高さに変化があるところも、大蛇がうねっているように見えます。規模や成り立ちが世界的にも珍しいことから、国の天然記念物に指定されています。

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実は親子の蛇でした
案内板の解説によると、写真の岩脈とは別に、並行して同じような岩脈が走っているようです。雪や氷で隠れている部分も多かったため今回発見することはできませんでしたが、なんでも大きい方は、長さ87m・厚さ42cm、小さい方は長さ17m・厚さ30cmもあるのだとか。

蛇石にはこのような言い伝えがあります。

むかしむかし、龍の兄弟が大喧嘩をしました。それによって横川を氾濫させ、下流の集落が鉄砲水に襲われるところを、2匹の母子の蛇が自らを犠牲にして救いました。そのことに感心した熊野権現は、その功績を称えるために2匹の母子の蛇を蛇石に変身させたそうです。そして、龍の兄弟は2度と喧嘩しないように、上流にある大滝に閉じ込められたのだとか。

辰年から巳年に移り変わるタイミングにぴったりの民話ですね。"辰"野町ですし......。

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訪れるのは雪解け後がオススメ
さて、不思議な蛇石と出会える蛇石キャンプ場は、無料で利用できるため、夏はキャンパーで賑わいます。今は冬ですので先週降り積もった雪がまだ残っており、キャンプ場から蛇石まではすぐなのですが、近くまで降りるには細心の注意が必要です。また、冬は、今回のように肝心の蛇石が雪や氷で隠れてしまっている場合もあります。

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干支を意識するのは暮れと正月だけ、というのも十二支たちの身になって考えてみると少し寂しいもの。雪が溶けてから、親子の大蛇に会いにいってみるのも風流ってもんじゃないでしょうか。

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◇関連リンク
辰野町観光サイト―蛇石キャンプ場―
・蛇石キャンプ場 地図

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