食と農で何を学ぶのか

01)自然・社会・身体を学ぶ「食と農」
02)総合で「学ぶ力」と意欲を育てる
03)地域とともに実践するプランづくり

自然・社会・身体を学ぶ「食と農」 ine_head_right

 2002年より「総合的な学習の時間」が始まった。多くの学校で食や農が学習のテーマに取り上げられ、地域も巻き込みながら体験をベースにした授業実践が行われるようになった。その一方で、「育てて、つくって食べるだけでは、学力向上につながらないのでは?」との声も聞かれるほか、最近は、「総合的な学習の時間」そのものの見直し論も出てきている。ここで、いま一度「食や農」の体験が持つ意味合いや「総合的な学習の時間」のあるべき姿について考えてみよう。

地域の大先輩から食の知恵と技を学ぶ(城南小)

 本来、食べるという行為は、他の生きものの生命を奪うことである。言葉をかえれば、人は他の生きものたちの生命や自然によって支えられて生きているということである。しかし、日常生活において、生きものの生命を奪うという、食べることの本質を子どもたちが実感する機会は少ない。だから、植物や動物を育てるところから始め、その大事に育てた生命をいただくという一連の行為は、子どもたちに自然の中で生きて行くということの意味合いや人間と自然とのかかわりということを実感させ、考える機会を与えてくれる。育てたり、調理したりという行為には、地域の自然の仕組みや生きものの生態、食べものの性質を先人たちが認識し、創意工夫しながら築いてきた知恵と技の体系が詰まっている。こうした知識を生きた形で実践的に学ぶことができるのも、食や農の体験ならではだろう。

 また子どもたちは、食の学習をつうじて自分と社会との関係についても学ぶことができる。普段われわれが食べている食品のほとんどは、栽培され飼育されたものだ。しかも、その多くがおいしく、かつ食べやすいように加工、調理されている。子どもたちは、生産・加工・流通・調理などの複雑な過程を見ることによって、食べものには多くの人の手が加えられていることを知る。そして、人は自然のみならず、他人(社会)によっても生かされていることを理解する。
 さらに、食べることの意味を考え、調理加工の仕方や食べ方を体験することによって、どうすればおいしく食べられ、さらに自分の身体を健康に保てるのかについて学ぶことができる。おいしく安全に食べる工夫や自分の身体の管理の仕方を理解し、健康な身体を作ることの大事さを自覚することは、子どもの発達や成長にとって、きわめて重要な「学び」となる。

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