学校農園をどう設置、運営するのか

01)設置・運営のポイント
02)水田体験
03)畑体験

設置・運営のポイント


栽培計画をたてる

「いつ」
 作物には春播きの作物、秋播きの作物、一年中できるものといろいろあります。作物の一生と、その過程で起こる変化や必要な作業を調べて準備することが、栽培を成功させるポイントとなります。作物の栽培時期は地域ごとに異なりますので、地元のJAなどで栽培暦を入手しましょう。

「どこで」
 もちろん田畑で栽培することが望まれますが、土地が確保できなくても、プランターやポットなどを利用する方法が考えられます。例えばイネは、バケツで育てる「バケツ稲」という方法があります。この方法は、子どもたち一人が一つのバケツ稲を持つことができ、各自が責任をもって育てられます。

「何を」
 子どもたちの好きな作物、教材価値の高い作物、地域の特産物などいろいろな選定要因があります。また、カリキュラム全体や学校行事との関係、協力者が得られるかといったことも考慮すべき点です。その上で「総合的な学習の時間」では、子どもたち自らが課題を見つけることがねらいとなっていますので、ある程度子どもたちに選ばせることが望ましいでしょう。

「どんな方法で」
 学校農園の場合、専門的と思われる作業はゲストティーチャーなどのプロにまかせて、子どもたちは種播きと収穫だけといった中抜きの作業になりがちです。しかし、子どもたちには、できるだけ多くの作業に関わらせるようにしましょう。そうでないと、作物を育てることの難しさと楽しさを理解させることはできないからです。ただ、育苗など熟練を要する作業は、農家の育てた苗も用意するなど、生育不良に備えることも大切です。

学習テーマを広げる、深める
 学校農園を運営していくには、いくつかの解決しなければならない課題があります。農地の確保や資材(種子・苗・肥料・農薬など)の調達などは、そのなかでも大きなものでしょう。
 このような場合、地元の農家、JA農業改良普及センター食糧事務所など農業の専門家の力を借りましょう。これらの専門家には、蓄積された知識や技術、経験があります。また、JAグループでは「次世代との共生」(※1)の理念のもと、「総合的な学習の時間」における小中学生の農業体験を積極的に支援しています。農地や資材、指導者の斡旋などの問題に対しても、支援を行ってくれるはずです。
 農業改良普及センターでは、地元の農家の方などを農業学習インストラクターとして登録し、体験学習の先生として学校に紹介しています。ぜひ「田んぼの先生」「畑の先生」(ゲストティーチャー)になってもらって、栽培全体をとおしたサポートをお願いするとよいでしょう。農業のプロであるゲストティーチャーは、「総合的な学習の時間」の強力なサポーターとなるに違いありません。
 「田んぼの先生」「畑の先生」の活躍の場は、田んぼや畑といった現場だけになりがちですが、ぜひ教室に招いて話もしてもらいましょう。体験学習のオリエンテーションとして、あるいは現在の農業が抱える問題などを子どもたちに直接話してもらえば、学習の動機づけや調べ学習のテーマを考えるきっかけとなるでしょう。
 「地域の先生」は、なにも専門性を持った農家や団体だけではありません。長年培った知恵や技能を持つお年寄りも、「地域の先生」として活躍してくれるはずです。お年寄りに昔の話をしてもらうことは、子どもたちに地域にある知恵や技能を伝えるまたとない機会でもあります。また、お年寄りとの交流は、地域社会の活性化につながります。収穫祭(※2)では、PTAにも協力をお願いして、地域の特産物の加工方法を教えてもらうのもよいでしょう。若いお母さんたちにも参加していただくことで、伝統を受け継ぐ格好の場となるはずです。

学習テーマを広げる、深める
 農園体験学習では、作物を栽培したり観察することが主な学習になります。しかし、栽培だけに終始してしまっては、「総合的な学習の時間」で実施する意味も半減してしまうでしょう。農園体験学習をきっかけとして、調べ学習をすすめ、情報と体験とをうまく調和させていくことが「総合的な学習の時間」のねらいの一つでもあるのです。
 作物を育てるという行為からは、様々なテーマが引き出せます。
 その作物が地域の特産物であれば、地域の歴史につなげることができるでしょうし、そこから地域の文化、風俗といった側面も見出すことができるでしょう。またその特産物は、どのように流通し、全国でどのように消費されているかを調べることもできますし、昔と今の食生活の違いといった課題を子どもたちは発見するかもしれません。
 ウェッビングマップ(※3)などを使って調べ学習をすすめると、テーマを広げ、深めていくことができるでしょう。

調べる方法

カントリーエレベーター

 調べる方法は、いろいろ考えられます。学校の図書館で調べてもいいでしょうし、インターネットで調べる方法も現在一般的になっています。また、農産物加工施設や農家への訪問も、大切な情報源となるでしょう。カントリーエレベーターなどの加工施設、JAの集荷場、朝市や直売所など、地元のJAに問い合わせてみましょう。



※1JAグループの3つの共生:JAグループでは現在、「3つの共生運動」に取り組んでいる。「3つの共生」とは「次世代との共生」「消費者との共生」「アジアとの共生」。
※2収穫祭:学校農園で収穫した作物を、加工してみんなで味わう行事。協力してくれた人々や近隣の住民を招待して行なわれることも多い。
※3ウェッビングマップ:項目同士のつながりや流れを、クモの巣(web)状に図式化したもの。テーマから派生する項目の把握に役立つ。

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