地方品種を育ててみよう

01)地域の伝統的な食文化を支える地方品種
02)地方品種が子どもの学ぶ意欲を引き出す
03)長野の主な地方野菜

地域の伝統的な食文化を支える地方品種 ine_head_right

 地方品種には育った地域の名前がつけられている例が多い。全国的に知られる「野沢菜」は、現在の野沢温泉村が原産で、同村の健命寺の和尚が18世紀中ごろに京都遊学した際に、天王寺カブの種子を持ち帰り、栽培したことが始まりとされる。その後250年あまり採種と栽培が行われ、今のような姿になっている。長野県下には漬け菜としてこの他に稲核菜(いねこきな)、羽広菜(はびろな)などの地方品種があるが、今では葉が大きく背丈も高い野沢菜が全県に広まっている。東京の小松川村(現・江戸川区)で育種された小松菜も同様に、地方品種としては珍しく全国に栽培が広がった品種である。
 しかし、1960年代以降の高度成長期に、都市に向けて大規模な人口流入がある中で、その大量消費を支える大規模産地の育成が図られた。そして、栽培しやすくて収量が多く、流通上扱いやすい品種が好まれるようになり、多くの産地で同じような品種が作られるようになる。その結果、全国化した地方品種を除くと地方品種の多くは栽培する人が減り、やがて忘れられていく。と同時に、それが支えてきた各地の伝統食も忘れられ、全国で食の画一化が急速に進むことになった。
 地域に根付き、そこでの気候風土に適応しながら育てられ、栽培や調理加工に独自の技能や技法を必要とした地方品種を見直すことは、地域の風土に根ざした伝統的な食文化を見直すことにもつながってくる。

長野のおもな地方品種(表記は慣例的に使う名称を優先)

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