のんびり信州、この宿、この食材 #4

蕎麦打ちの宿 横谷温泉旅館

yokoya_icon.gif今回は、信州蓼科横谷温泉峡にある「横谷温泉旅館」さんを訪ねました。玄関を入ると従業員の方が元気な声と笑顔で出迎えてくれます。お話をうかがったのはサービス部部長の塩田英明さん。「旅館はお客様の貴重なお時間をお預かりしているところ。本当に楽しい想い出を創り、持ち帰っていただきたい」と話してくれました。

食事とは食べるコト

熱いものは熱いうちに、冷たいものは冷たいうちに、つまり「できたて」を食べてもらうのがこの宿の一番のモットーだ。特に目を引くのがオープンキッチンの食事会場。会場のすぐ横に調理場があり、ガラス窓越しに調理風景を見ることができる。作られた料理が即座に会場にサーブされ、例えば天ぷらも揚げたてのアツアツ、サクサク、本当に美味しい瞬間を逃さず味わえるのは感動もの。この御客前会席料理に旅館の想いがうかがえるではないか。

鶴のコース.jpg「食事とは『食べるコト』と書くのです。例えばご飯と漬け物だけの料理でも、楽しい雰囲気と空間がそこにあれば満足してもらえるでしょう。心から美味しかったと言ってもらえる空間・雰囲気を作るのが旅館の役目なんです」と語る塩田さん。そこには、宿泊客の食べるという行為に対する深いこだわりがうかがえた。

もちろん、そのこだわりは、食材にも大いに発揮される。山海の幸をバランスよく織り交ぜた旅館の料理には、静岡県の沼津港から毎日直送される海の幸が並ぶ。また、これからの季節は蓼科の高原で育った新鮮な夏野菜が登場し、ドジョウの代わりにウナギを使った柳川なべなども供される。手作りで自然派志向の料理を常に心掛けているのだ。

石臼2.jpg蕎麦打ちの宿

「従業員全員が蕎麦を打てるようにしたい」という塩田さんの言葉に、旅館の蕎麦に対する熱い想いが込められていた。並ならぬ決意だ。蕎麦粉は館内の工房で玄蕎麦から挽いたばかりの国産品を使う。水は横谷峡の天然水だ。当然、客の目の前で打ち、茹でたてのものをその場で提供する。文字通り「挽きたて、打ちたて、茹でたて」が自慢。作るのはつなぎ無しの10割蕎麦。お土産用も爆発的人気で連日売り切れだ。

遊楽庵のおそば.jpg横谷温泉旅館では、希望があれば蕎麦打ちの体験講習も受けられる。手打ち蕎麦の職人さんが順序立てて丁寧に教えてくれる。「ただ泊まるだけの旅館でなく、体験して感動を味わってほしい」という旅館の想いが伝わってくる。目の前で粉と水がつながっていく様子に、蕎麦打ちを体験した人たちは感動するという。蕎麦打ちの体験講習は予約制で4人前4200円(税込み)。つけくわえておくが、館内の「自家製粉そば工房遊楽庵」では、宿泊客以外も10割蕎麦の味を堪能できる。

想い出創りの達人たち

旅館の働きさん全員が胸につけている名札に「私たちは笑顔で想い出創りの達人を目指します」と書かれていた。ただ泊まるだけでなく、楽しい想い出を創って帰って欲しいという想いを、全員が共有しようとしているのである。

「お客様がいい意味で驚くような、押し付けでない感動を演出したい」とちょっとしたサプライズも用意してある。ほかの旅館では見られないような、思わず「ニヤリ」としてしまう細かいところへのこだわりがあるのだが、当然サプライズなので、ここでは明かせない。だが、宿泊した人からはことのほか評判の「驚き」だとか。また、7月の毎週金曜日には納涼寄席も行われている。

乙女滝.jpg自然に囲まれた一軒宿

旅館は蓼科の横谷峡谷にあり、喧騒から離れた自然のなか、ゆっくりとした時間の流れを感じることができる。周囲の散策をするなら、お勧めは滝巡りだ。徒歩5分で、豪快に流れ落ちる「乙女滝」を見ることができ、さらに奥まで進めば「王滝」「おしどり隠しの滝」も。旅館も「自然との共生」をコンセプトに、ロビーの床にはコルクを用い、ソファーにはオーガニックコットンを使う。床下には9トンもの炭が埋められ、リラックスできる空間の創設に力を注いでいるという。

露天風呂は社長の手造り

男性露天風呂.jpg温泉の泉質は単純炭酸含鉄泉。茶系の色が目を引く柔らかい肌触りのお湯だ。風情溢れる露天の岩風呂は、横谷温泉旅館の社長さん自らが組み上げたものという。絶好の景色とともに贅沢な空間を創りあげている癒しの空間となっている。おいしいのは料理だけではないのである。




■蕎麦打ちの宿 横谷温泉旅館
〒391-0301 長野県茅野市北山5513
TEL 0266-67-2080 FAX 0266-67-4746
E-メール  yokoya@avis.ne.jp

横谷温泉旅館のホームページ

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