のんびり信州、この宿、この食材 #02

信州・白馬 八方温泉 源泉の宿まるいし(北安曇郡白馬村)

05yado-1.jpg先月からはじまった「食」にこだわり、おいしい料理を提供してくれる宿を紹介するシリーズの第2弾。今回は白馬岳のふもと、北安曇郡白馬村の「源泉の宿 まるいし」さんを訪ねました。「まるいし」さんは宿を構えて40年ほど。"もともと 城下町松本と日本海側の糸魚川をつなぐ塩の道"を行く行商人を泊めていたのがそのはじまりだとか。笑顔で出迎えてくれた3代目のご主人、大谷雅彦さんと奥様のみどりさんに「食」に対する思いをじっくりうかがいました。

畑も田んぼも山も、持ってます

新鮮な素材で作られる料理
「揃えられる食材は、地場産・長野県産でそろえるよう心掛けています」とは奥様のみどりさんの弁。「まるいし」は畑に田んぼに山まで持っているので、米も野菜も山菜もみんな取れたてで新鮮なものを提供できるのが強み。米はご主人のお父さん、徳エ門さんが作っていて、品種は冷涼な気候に合わせて あきたこまち。「白馬の豊かな自然と美しい水で育ったお米は一味違いますよ」と雅彦さんはうれしそうに言う。

山菜も白馬地区ではこれからが本番。タラノメやコシアブラのほか、ユキザサや和名をヨブスマソウといい、この地方の方言ではウトブキと呼ばれる珍しい山菜を使った料理も食卓にのぼってくる。畑では野菜作りが進められていて、キュウリ、ジャガイモ、トマト、ズッキーニ、ナスなどなど種類も多彩。また、徳エ門さんが果樹も栽培していて、桃にプラムにキウイなどこちらも実に豊か。夏にはこれらの野菜を使いバーベキューの要望にも応えていて、このとき子どもたちにはバター作り体験もしてもらっている。出来たてのバターを畑から取れたばかりのジャガイモに塗って食べてもらうと、皆大喜びだとか。新鮮さ、味の良さに加えて楽しさも提供しているのだ。

名物は「はくばの豚」に「塩の道焼き」

これが塩の道焼きだ
宿では北アルプス山麓のこだわりの銘品である 「はくばの豚」を使ったしゃぶしゃぶも提供する。とろける肉の柔らかさと甘味が好評だという。しゃぶしゃぶには畑で育てた行者ニンニクも使う。意外な感じがするが、これが「あっさりしていておいしい」(雅彦さん)のだ。

また、グループの宿泊客にはお二人が「塩の道焼き」と名付けた料理を提供する。新潟県の糸魚川から小谷、白馬を通って松本に抜ける"塩の道"にちなんで名付けられたこの料理は、イナダやタイなどの魚をまるごと塩で包んでオーブンで焼き上げたもの。県内産で揃えられない魚は、糸魚川まで新鮮なものを購入しに行く。刺身にも使える新鮮な魚で作る「塩の道焼き」は非常に好評だ。この「塩の道焼き」だが、春の山菜シーズンにはネマガリタケを使って作られる。取れたて新鮮なネマガリタケを使い、アクも無く柔らかくて本当においしいという。「見た目の楽しさにも気を使っている」という奥さんの心掛けが表れた料理である。

おばあちゃんの出番

評判はおばあちゃんの漬け物
おいしい漬け物の担当はやっぱり、おばあちゃんの貞(みさお)さん。貞さんは地元の団体で伝統の料理やおやつ、体に良い漬け物の勉強などを欠かさない。宿のお客さんに出す漬け物は酢で漬け直すなどして、長く保存させることよりも塩分を控えめにするなど体のことを気遣って作っているのだとか。また「若い人にも喜んで食べてもらえる漬け物を」と、キュウリやナスの漬け物を青紫蘇の実に和えたり、若者向けに少しアレンジしたものも出している。徳エ門さんが育てる八重桜の花を使った塩漬けや地粉を使ったおやきも好評の一品だ。

風変わりなお勧め料理

ネマガリタケを使った宿のお勧め料理のひとつがおみそ汁。具はネマガリタケと、なんとサバの缶詰。「サバの缶詰なんてちょっと...」という声が聞こえてきそうだけど、「ネマガリタケのみそ汁にはサバの缶詰しかありえません」と断言する雅彦さん。旬の時期には是非食べて欲しい一品のようだ。また、バイキング形式の朝食にもちょっと変わった料理が出される。畑でとれるゴーヤを使ったゴーヤチャンプルーや甘く煮た黒豆にヨーグルトをかけたものなどだ。黒豆とヨーグルトは甘味と酸味がマッチして意外なおいしさ。夕食には雅彦さんが打ったそばも出される。雅彦さんは5年ほどまえからそば打ちをはじめたといい、宿では予約制でそば打ち体験をすることもできる。また、みどりさんが作った押し花が宿のあちこちに飾られていて、場をなごませているが、こちらも予約制で押し花体験をすることができる。

源泉だから温泉も最高!

雅彦さんとみどりさん
八方温泉の源泉から引く温泉もとても上質。 八方温泉は無色透明のアルカリ泉で、地元では肌をつるつるにする美人の湯だと言われている。上質な湯ににゆっくり浸かったあとに食べる食事は必ずや最高のものになるでしょう。

「白馬の大自然を体験してもらい、地元や長野県の料理・食材をもっと皆さんに知って欲しい」と話すみどりさん。6月下旬には村内の一角でホタルも見られる。美しい自然に上質な温泉、そしてもちろんおいしい食事を求めて足を運んでみてはいかがでしょうか?



■源泉の宿まるいし
〒399-9301 長野県北安曇郡白馬村八方5061
TEL 0261-72-2116 FAX 0261-72-5933
E-メール  info@happo.jp

源泉の宿まるいしのホームページ

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