そうだ、長野県で農業する人に会いに行こう

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脱サラをして伊那市でお米と野菜を栽培している唐木千尋(ゆきひろ)さんに話をうかがいました。唐木さんはJA長野県青年部協議会の副部長です。年齢は1965年生まれの46歳。家は、もともと稲作を中心とした米農家で、現在は父親と嫁と子供ひとりの3人家族で暮らしています。

以前は、勤め人でしたが、米などの農産物が徐々に売れるようになったことをきっかけに、専業農家となって今年で3年目になります。会社で働いているときは、田植えや稲刈りを手伝う程度でしたし、子どもの頃は農作業の手伝いが嫌だったそうですが、今ではお米約130アールを中心に、もともと田んぼだったところを畑に変えて、ブロッコリーとズッキーニは同じ畑で約30アール、白ねぎは約20アールを生産しています。今はちょうど白ねぎの収穫真っ最中で、インタヴューの日も、ねぎ畑で作業をされていました。

 

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安心して食べられる安全な食べ物
「おいしいはひとそれぞれの感覚。安心して食べられる安全な食べ物が大切」唐木さんは断言します。ブロッコリーで言えば軟腐病という腐ってしまう病気が心配ですし、ズッキーニはウィルスなどによる斑点が出てしまうそうで、作物が病気になると収穫できる量も減ってしまいますが、そのリスクを負ってでも、減農薬などで体においしいものを作っているそうです。

しかし、以前ズッキーニの病気の検査が行われたとき、他の慣行栽培畑で作られたものはほとんどが病気にかかっていましたが、唐木さんの畑で収穫したものは病気にかかっていなかったことがあり、とかく病気になりやすいなどと言われる減農薬の中で、試行錯誤され、熱心に研究されていることが、表れた出来事といえるかもしれません。

唐木さんは、以前勤めていた会社では、実験用動物を飼育されていたそうで、その仕事と農業とには共通点があるそうです。それは消毒効果で、どういった要素が何に効果があるかという知識が生かされています。こうした知識によって、化学肥料や農薬を減らしても、おいしい野菜やお米が作られているのだと自分なりに納得できます。お米では一部で岐阜県の品種「いのちの壱」を生産しており、「龍の瞳」として出荷していますが、コシヒカリよりも粒が大きく食味が良く、大変人気があるそうですので、みなさんも見かけたら一度試してみてください。

春から秋までは忙しい
1年のサイクルは、大体2月から3月くらいに米や野菜の種をまき、4月・5月には田植えと、白ねぎブロッコリーの定植をします。6月には早速ブロッコリーの収穫がはじまり、夏はズッキーニの定植と収穫、9月になると稲刈りや白ねぎの収穫をしているそうで、11月頃にやっと一息という流れです。冬季間は高速道路で雪かきのアルバイトをしていて、スノーカントリーにドライブに来る人びとの安全も守ってくれています。

ズッキーニの一番おいしい食べ方
唐木さんの家では、ズッキーニは輪切りにしてグリルで焼いて食べることが多いそうで、これが一番おいしいとのことです。その際にはトマトやチーズを乗せて焼いて食べてみてください。

会社を辞めてから、県の普及センターの方にお世話になったり、近所の農家の方から、野菜作りはすべて教わったそうです。「農業は人とのつながり。農業に携わっていることで、近所の人とつながり、遠くの消費地の方ともつながることができた。特にファンになってくれた消費者の方は、生産者をありがたいと思ってくれている。生産者として精一杯のおいしいものを提供することが大切」と唐木さん。出身のJA上伊那青壮年部の仲間とも、同じ農業に携わるライバルではあるが、こういった方法が良い、こういうもので失敗したなどの話ができるとのことです。

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売ることを考えてつくる
「農業は大変だというイメージを持っている人が多いと思いますが、手間がかかるのに価格が安いことが問題だ」と唐木さんは言います。これは、実際に「生産者が売ることに意識がなかったことも問題ではないか」と言います。農業のイメージを変えるポイントがここにあるのかもしれません。

これからは、米や白ねぎの栽培を増やしたり、アスパラも作ってみたいと言いますが、生産品目で作っていておもしろいのは、次々に実を付けるズッキーニだそうです。

日本一の味の米を追求する
夢は、作っているお米を「いつかは日本一の味にしたい」と願い、毎年の食味コンテストにも応募されています。コンテストでは、たんぱく質の含有量など数値でまず選考され、その後に実際に味を見るという段階に進むそうですが、唐木さんのお米も味を見るという段階にまでは進んだそうです。

こういった情熱を持ち、研究熱心な農業者が、長野県の農業を支えています。

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