片桐さんの農事録
[片桐さんの農事録]

みなみ信州発☆羊と暮らすゆきさんの農事録 第38回

ゆきさん農事録

 

こんにちは!
毎日毎日とにかく寒いですね><; 雪が舞う回数も多く、滅多に積もることのない我が家の辺りでも数年ぶりに見事に庭を覆い尽くしたので、テンションあがって写真を撮りまくってしまいました。翌日には溶けてしまったので本当に一瞬の景色でしたが、運転の予定が無いときに見る雪景色はとても、美しかったです^^*
とは言え、福寿草が咲き始めた今も現在進行形で酷い雪害のニュースを目にします。ハウスの倒壊など農業被害も出ているようで、のんきに美しいとか言っている場合ではないのだな><;と、記事を読んでは思う私ですが、皆様いかがお過ごしですか?

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厳冬対策は練炭で

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基本的に-3~5℃、-7~8℃予報の日はひと冬に1、2回あるかないかが「いつもの寒さ」レベルなのですが、今シーズンは昨年12月の内からマイナスの厳しい日が続き、今年に入ってからは連日の-9℃・・・! あげく、日中の最高気温が-1℃という終わりの無い寒さに、我が家では先月も紹介した練炭コンロが大活躍でした。

牛舎内の温度は元々外気温プラス6℃ほどなので、例年程度なら殆どの場合マイナスにならず、牛もーが水を飲むウォーターカップも凍ることは無いのですが、今年は四隅で練炭を焚いていても、一番冷え込む日の出の頃には凍り始めてしまい、慌ててやかんのお湯で溶かすと言う毎日でした。集乳車の運転手さんに聞いたら、管内では凍結で水が出ず搾乳が出来なかった酪農家さんも居たそうなので、経費も手間もかかりますが、前日の夜火をつけると空気穴の調節ひとつで翌日の朝までしっかり温かさを保つ練炭は、結構いいアイテムなんじゃないかな? と^^*

 

生まれてからが大変の本番!

さて、そんな感じで寒さとの戦いな毎日でしたが、年末年始「ベビーラッシュで大変」と言っていたそれが、漸く落ち着いてきました^▽^b 私がベビーラッシュと表現しているせいか、生まれたら一段落。と言う印象を受けるかもしれませんが、要は人間と同じです。赤ちゃんは生まれてからが大変の本番!(笑)

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そう、赤ちゃん牛もーは、ミルクをあげてれば勝手に大きくなってくれるわけではないんです>v<; 写真は、ステージ毎の与えるミルクや餌の違いです。

生まれて1、2回は「初乳」という、免疫物質のしっかり含まれた色も粘度も非常に濃いミルクを与えます。(出荷用牛乳への混入を防ぐため、初乳は通常のパイプラインで搾乳出来ないので、バケットで別に搾りますが、お産が何頭も重なるとバケットはひとつしかないので、それはそれでまた時間がかかります><;)
例えば深夜など、どんな時間帯にお産があっても、生まれたばかりの子牛にすぐに初乳を飲ませられるよう、我が家ではある程度の初乳を常に冷凍保存して居ます^^

その後、3回目位からは、お母さん牛もーのミルクに所謂「乳酸菌」を加えたものを与えます。これは、ミルクを子牛のお腹の中でヨーグルト状(カードと言います)にすることで、消化をよくし、下痢を防ぐのです^O^

「初乳」と言われる牛乳も5日~1週間ほどで出荷出来る数値になります。母牛の個体差はありますが、平均で1日20~30リットルの搾乳量に対し、毎日1頭の子牛が飲むのは、こちらも個体差がありますが、4~7リットル。結構差分があるので、産後2、3日目~出荷出来るまでのミルクは初乳用のバルクにて保存し、牛乳として他の牛もーと同じように搾り、出荷されるようになってからも、子牛にはちゃんとお母さん牛もーのミルクをあげられるようになっています。

でも、子牛は毎日成長するのに、お母さんのミルクは何日か前に保存したもののまま・・・。と言う事で、我が家では粉ミルクを混ぜ濃さを調節し、栄養価を高めたものを子牛に飲ませるようにしています。実は、業者さんに言わせると、「粉ミルクは規定量を規定量適温のお湯で溶かないとカード形成が上手くいかず価値が無い」との事なのですが、こうやって初乳に粉ミルクを混ぜておくことで味に慣れるので、お母さんのミルクから粉ミルクへの移行もスムーズになるのです^^b

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冷蔵保存していても、1週間から10日ほどで「この牛乳アウトだな・・・」という臭いになってきます(笑) そうしたら、今度は粉ミルクの出番です!(ちなみに、この粉ミルク時代から時間のかかるほ乳瓶を卒業してバケツでミルクを飲み、乾草も食べるようになってきます。・・・と言いたい所ですが、ほ乳瓶からバケツへの移行は結構難しくて、時々飲み方を忘れてしまう子も居るので、またほ乳瓶で吸うことを思い出させたりしなければならず、頭では仕方ないと分かっていても、ついついイライラとしてしまいがちです(笑))

写真の粉ミルクには、一緒に粒のビタミン剤と各種整腸剤が添加してあります。
この頃からスターターと言われるペレット、人間で言う所の「離乳食」であるカリカリを給餌し始めます。最初は少量をミルクに入れ少しふやかし、手で口に入れてやり、味や食べることを覚え慣れてもらいます。

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平均40日ほどを目安に離乳させ、乾草やスターターを食べるように切り替えるのが理想なのですが、なかなか自分でカリカリを食べてくれない子牛も居たりと、この時期がとにかく一番手がかかります><;(あと、子牛とはいえ下の歯がしっかりしていて、カリカリを口に入れた時に噛まれると結構な傷になって生傷も絶えません・・・)

なんとかかんとか格闘しつつ3ヶ月たったら、子牛用スターターと大人用濃厚飼料(2015年6月の農事録)との中間食に切り替え、時折ルーサンヘイの粉やサイレージもごく少量給餌し始めます。ミルクがメインの頃は下痢にもなりやすく、下痢になるとそのまま肺炎になって死亡したり、回復できても成長期に食が落ちるせいで体躯の伸びも悪く小さいままになってしまうので、とにかくその3ヶ月目を迎えるまでが気を抜けないのです。

また、牛もーは比較的強健な生き物ですが、病気や事故が多いのは産前産後が一番ということで、お母さん牛もーの観察管理もいつも以上に気を遣います。どんな仕事にも「忙しいとき・神経を使うとき」と言うのがあるとは思いますが、我が家ではベビーラッシュがそれに当たります。もし今後私が同じような事を言っていたら、難しいことは覚えてなくても、おちび達と格闘しているんだな、と思い出して下さい(笑)

 

春を告げる確定申告

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1月2月と、今年もお気に入りの劇団の新春公演と地方公演を観劇し、ついでに自分用にご褒美チョコを買って帰宅しましたが、友人からも素敵なバレンタインチョコを頂きました^///^* 綺麗すぎて食べるのに勇気がいりました(笑)

忙しさも落ち着き、気温的にもだいぶ春めいてきたし、何より今年はぎっくり腰にもなっていないし! で、気持ち的にはどこかへ遊びに行きたい所ですが、確定申告は漸く手を付け始めたばかり><; 俳句では梅のことを春告草とも言うのだとか。我が家の梅は今年もまだ蕾のままですが、例え梅の蕾がほころんでも、確定申告を提出しない限り春は遠いので(笑)、もうひと頑張りしなきゃです。
それと、今月分の農事録が公開される頃には、頂いたコメントへのお返事も完了しているかと思います^^ 今月はぎっしり文字ばかりでしたが、あわせて読んでいただければ嬉しいです。

では、また♪

ゆきさん農事録

 

 

この記事を書いた人

片桐由貴さん

伊那谷をまっすぐ南に向かって流れる天竜川流域の牛舎で、仕事と趣味、どちらも楽しむという片桐由貴さん。大学卒業後「やっぱり牛が好き!」と、家族の営む酪農に就農して12年。80頭ほどの牛たちと、ペットの羊2匹、猫5匹と過ごす日々を綴ります。

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