新海さんの農事録
[新海さんの農事録]

新海さんちの農事録 第3回

連載※長野県南佐久郡川上村で高原野菜を生産する野菜農家の新海岩夫さん(56歳)が、月々の農事を綴ります。

春を待つレタス畑
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月下旬、雪の溶けた隙間から淡い黄色の花びらを見つけました。『福寿草』です。別名雪割り草とも言われ、春一番に花を咲かせます。しかし今朝はそれも又雪の下。3月になったというのに、雪はきにおはれています。3月と言えば年によっては砂埃りが舞いあがることもあるのですが、どうやら今年は少しは遅れるのかなと思われます。弥生3月という月は、なんとなく気ぜわしくて、卒業そして入学や転出入などが重なるなど、あっという間に過ぎてしまう月のひとつではないでしょうか。

野菜の仕事も以前と比べてみると、野菜の苗を専門に作っていただける業者さんなどの出現によって早まっていて、この3月の後半にはもうレタスなどの種まきをお願いします。そして4月にはいって畑の準備が出来次第、その苗を植えつけるのです。以前は畑に直接レタスの種をまいていました。4~5粒まき、芽が出てから4~5センチに成長したところで、1本だけを残して抜いていました。苗から植えるようになって、おおよそ1ヶ月位は早まったのではないでしょうか。近年「ポット育苗」といって花や野菜の苗を植えやすいように1本1本に分けて苗を育てる方法や、畑をビニールマルチで覆ってそこへ苗を植えていく栽培方式の普及によって、省力化と大量生産への大きな変革があったのです。

「変革」といえば、今は『食べる』と言うことについても「大きな変革の時代」といえるかもしれません。アメリカのある映画監督自らが、ファーストフードを30日間食べつずけたらどうなるのかをドキュメントでつづった『スーパーサイズ・ミー』と言う映画が話題になっています。わたしのような食べ物を作る側にとっても、みなさんが将来にわたってどんなものを食べていくのかは大きな関心ごとです。人間の食べ物の好みは2?3歳できまるとさえ言われています。産地では安全で健康に良い、そしておいしい野菜作りが、今年もまたはじまろうとしています。

長野県の気候・春の特徴(長野地方気象台)

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長野県南佐久郡川上村で高原野菜を生産する野菜農家の新海岩夫さん(57歳)が、月々の農事を綴ります。

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