新海さんの農事録
[新海さんの農事録]

新海さんちの農事録 連載第11回

連載※長野県南佐久郡川上村で高原野菜を生産する野菜農家の新海岩夫さん(57歳)が、月々の農事を綴ります。

冠雪の八ヶ岳
冠雪の八ヶ岳

週間ほど遅れを感じる唐松の紅葉も既に終わりを迎えて、くすんだ色の広葉樹の中、全山あざやかな黄色に染まっています。その林の近くをとおると、風に揺られた幹からハラハラと細かな落ち葉が舞い落ちて、なんともいえない風情を感じさせてくれる今日この頃。

すでに出荷を終えたレタス畑は、ビニ-ルマルチもはぎとられ、トラクターでの耕転を済ませて、ライ麦やえん麦など蒔きつけた緑の畑も近頃ではそこかしこに多くみられるようになっています。

ライ麦えん麦などは緑肥としてそのまま畑にすき込んでしまうのですが、耕土の飛散や根のはり(地中1メートルくらいまで根が張るといわれています)による硬板(上層と下層の間にできてしまう硬い層)の破壊、そして土の弾力化、連作障害の回避に役立つなど、多くの効果が言われています。

所々に見られる自家用の野菜は、これから何度か霜にあわせてから、見た目は悪くても十分に糖度が増したところで収穫し、冬を越すための保存用として収穫されることになります。

わたしたちの愛山"八ヶ岳"にも、10月下旬に初冠雪がありました。「御山に三度の雪でふもとにも雪がくる」と昔より言われ、そろそろ本格的な冬の訪れを感じさせます。

川上村には、レタスのほかには江戸時代から名品と言われた「川上そば」や粘り気の強い「長イモ」などがあります。いずれも生産される量が少ないので、レタスの陰に隠れていますけれど、なかなかの名産品も作られていて、それらが今は収穫期を迎えています。わたしどもJA長野八ヶ岳川上支所の有機野菜生産部会としても毎年共同で長イモを作っていますが、ほとんど地元の人たちの贈答品として出てしまいます。

本年度のレタス全般を振り返っての反省なども忘れないうちにすませて、来年への備えもしなくてはなりません。終わってホッとしている部分だけでなく、たまっている夏の疲れを取り除く、そんなさまざまなことの入り混じった霜月11月でもあります。

長野県の気候・冬の特徴(長野地方気象台)

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長野県南佐久郡川上村で高原野菜を生産する野菜農家の新海岩夫さん(57歳)が、月々の農事を綴ります。

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