古田さんの農事録
[古田さんの農事録]

農業が好き!地域が好き!古田さんちの安曇野LIFE:8

古田さん農事録

 

先月号で予言しましたとおり、シナノスイート収穫のピークが過ぎたあたりでございます。
シナノスイートは、弐七農園でもっとも量が多いりんごでして、面積で30aほどございますから、収穫するにも何するにも、時間がかかってしまいます。

そう、何するにも、時間が、手間が、かかるのでございます。
というよりも、かけないといけないのでございます。

正直な話、今、結構へこんでおります。
目に見えて、失敗したことがわかるのでございます。
というのも、ものすごい数の小玉りんごが収穫できてしまいまして。
情けないことでございますけれど、今回は自分の失敗について、恥を忍んでお話しさせていただきます。

小玉りんごはなぜ生まれたか

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こんな小さなりんごばかり作って、何になるのでしょう。(非常においしいのですが)
小さくても収穫の手間と育成費用は同じだけかかっておりますけれど、値段に倍以上の差がございます。

師匠の岩垂さんの育てたスイートは、こんなスイートじゃあございませんでしたよ。本当に。
畑を譲ってもらって、同じ木を育てたはずなのに、全然違うんですね。
先日、岩垂さんの畑におじゃましたとき、見事なスイートがぶら下がっている景色にショックを受けました。
そして痛感いたしました。
見事で美しく、手にした人が「わあ、すごい!」ってテンションが上がるようなりんごを育てて収穫するっていうのは、技術なんだと。

え、何でそんなに小さくなったかって?
おそらく摘果でございましょう。
摘果のスピードと質が悪かったのが一番の原因だと思われます。
養分が分散してしまい、大きく育たなかったのでございましょう。

「摘果のスピードと質が悪かった」
こう書いてしまうと、お手伝いさんも含めて作業員のレベルを問題視していると勘違いされるかもしれませんね。 違います。問題だったのは、個々の技術ではなく、園長の経営判断でございました。

やはり、人を使うところは、きちんと使う。
費用をかけるところに、きちんとかける。
それができないと、結局収入が減ってしまうのでございます。

目先の費用を気にするあまり、商品の質を落としてしまいました。元も子もありません。

小さくて大きい10%

しかも今回は、収入が減っただけではなく、余計な費用もかかってしまっております。
小さすぎるりんごはJAの選果機で処理できないので、専用の段ボール箱を買って自分で詰めて持っていかなければならないのでございます。
選果・荷造でかなりの時間を割いてしまいました。

古田さん農事録

 

「丸かじりりんごって書いて、直売所で売ればいいだろ」とおっしゃる方もいるかもしれません。
確かにその通り。特にシナノスイートは小玉を皮ごとパリッと丸かじりするのが最もおいしいと思いますので、本心からおススメできるのでございますが、、、
なにせ、数が半端ないのでございます。
計算してみますと、今のところ3000個くらい、小さすぎるりんごを出荷したことになります。
300コンテナくらい出荷した中の、約30コンテナ。実に全体の10%も!!

。。。数字におこすと改めて凹んでしまいます。今月の農事録はこの辺で止めちゃいたい。

反省しないといけません。
改善しないといけません。
来年は、今年よりも作業時間が減ってしまうこともあり、人員計画をきちんと立てて、早めに作業ができるようにいたします。

小さな坊と一緒に

ただ、こんな失敗をしてみますと、もちろん失敗はマイナスなことでございますけれど、なんだか、経営者になったんだなあ!という実感が強く湧いてきているのでございます。
そりゃ、サラリーマンと違いまして、自分の判断や力量が収入に直結しておりますからね。
「改善しなきゃいけない!」という気持ちも、来年どうしようか、改善できたら売上がどのくらい増えるのか、費用を圧縮できるのか、自分の作業時間を削減できるのか、などの計画や展望も、すべてが収入に直結してきます。 個人事業主でございますから、もちろん収入は家計に、生活に直結してまいります。
この感覚が、やりがいや、楽しさになっているのでございます。

古田さん農事録

 

古田さん農事録

 

畑から帰れば(畑に来てくれることもありますけれど)小さな坊が待っていてくれます。
毎日元気をもらってから、夜はガレージで選果や荷造の仕事に励んでいるのでございます。
ととはがんばるよ。

オーナー様と笑顔の再開

最後にちょっと明るいお話も。
今月は、シナノスイートのオーナー様たちが、収穫に来てくれました。
あいにくの天気の日もございましたけれど、みなさん本当に楽しんで収穫してくださいまして。
7月の弐七祭のときも感じましたけれど、やっぱり自分の農園でたくさんの方が楽しんでくれているのって、最高に幸せなことでございます。
さらに今回は、育てたりんごを食べてもらって、笑顔で「おいしい!」と言っていただけて。。。
写真で察していただけますでしょうか。

古田さん農事録

 

さて、最後のふじが始まる。
いろんなものを心の支えに、がんばっぺ!

あ、そうそう、首都圏の方向けの情報で恐縮でございますけれど、
今週末、東京は三鷹市にりんごを売りに伺います。

三鷹市農業祭プレイベント
日時 2017年10月29日(日)10時~(売り切れ次第終了)
会場 三鷹市農業公園(東八道路沿い、JA東京むさし三鷹緑化センターの横)

JA長野県青年部協議会のブースで、小倉の仲間とりんごや梨、ジュースを販売いたします。
弐七農園からは、シナノスイートと搾りたてのりんごジュースを持っていき、その他、りんごはシナノゴールド、ぐんま名月、秋映、梨は南水などが並ぶ予定でございます。
試食も出しますので、りんごを食べ比べるチャンスでもありますね。楽しそう。
天気が若干心配ではございますけれど、遊びにきていただけたら嬉しいです。
日曜日、三鷹市農業公園で、お待ちしております!

日々の畑・りんごの様子やもろもろは、ブログ「りんご屋さん 弐七農園」もご覧ください。
(最近更新できない日が多くてすみません。)

ではまた来月、お会いいたしましょう。

古田さん農事録

 

この記事を書いた人

古田然さん

北アルプスのふもと安曇野市三郷小倉で3年間の研修を経て、2017年にりんご農家として独立した古田然さん。
農業が好き! 人が好き! 地域が好き! な古田さんが、安曇野の暮らしをつづります。

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