古田さんの農事録
[古田さんの農事録]

農業が好き!地域が好き!古田さんちの安曇野LIFE:3

古田さん農事録

 

りんごの花は、五月の頭に満開を迎えました。
ほんの一時ではありましたが、お花見をしながら仕事をしているようで、天気も穏やかでしたし、なかなか気持ちのよいものでございました。

りんご屋の一大仕事

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果樹農家はみなそうなのかもしれませんが、花が咲きますと「今年も始まったなあ」と思うのでございます。
"思う"というより、周りの仲間がそう話すのを聞きますと、新規就農者といたしましては、「ああ、りんご屋はそう感じるものなのだな」と認識するのでございましょう。
りんごに携わって4年目ともなりますと、なんとなーく自分で感じるようになってきたのかもしれません。

始まる。。。と申しましたのは、いわゆる農繁期ってやつでございましょうか。
そう、りんご屋の一大仕事、摘果の季節がやってまいりました。

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5月19日のふじ

摘果、つまり果実の間引き作業でございますね。
りんごの木にはたくさんの花が咲きまして、その花が受粉しますとひとつひとつが実になります。
5月中旬に花が落ちますと、小さなりんごの赤ちゃんがたくさん着いている状態になります。
このまま大きく育って色づき、たくさんりんごが穫れるかと申しますと、そううまくいくものではございません。

葉っぱの光合成と根っこから吸い上げる様々な養分の量には限りがございますから、このまま全ての実を育てますと大きくは育ちません。
糖も不十分な、あまり美味しくない、無数の小さなりんごがおそらくできてしまうのでございます。
つまり、大きく美味しいりんごに育て上げるには、実を間引いて、養分を集中させてあげることが必要なのでございます。

そうですね。。。りんごとして収穫されるのは、ちょっと正確にはわからないので私の感覚で申しますと、ざっと50〜100分の1といったところでしょうか。
それほどたくさんの実をボロボロブチブチと摘んでいくのが、摘果作業なのでございます。

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5月31日のふじ

どんな感じの作業なのか、言葉足らずでわかりにくいので、今回はへたくそな動画を撮って参りました。
片手でスマホを持ち、もう片手で作業をするのは、難しいものでございますね。
次回があれば、誰かに撮ってもらうようにいたします。

ちょうどいいコミュニケーション

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さて、その摘果作業ですが、ひとりのときですと、ラジオ(相撲中継は絶対)や音楽(主に往年の洋楽ロック、メタル、プログレ、ジュディマリ)、落語(最近ハマり始めた)をお供に、黙々と摘んでいきます。
なにせ動画で紹介しましたこの時期の摘果作業は、スピード重視のルーチンワークでございます。4年目ともなりますと、手はほぼ自動運転。音とりんごの木に半分ずつ意識を向けておりますと、知らないうちに数本先の木まで移動しております。

ただ、ひとりですと作業が間に合わないため、お手伝いをお願いすることもございます。
そんなときは木を挟んで向かい合って、話しながら摘果していくのでございますが、これがなかなか。
先日、中学校の同級生がひとり、SNSに上げたバイト募集投稿を見て手伝いに来てくれたのでございますが、まともに話すのは中学校卒業振り。15、6年振りでございましたよ。
ええ、SNSのおかげでございます。

まあしかし、SNSっていうのは便利でございますね。
全く会っていない昔の友人でありましても、なんとなく近況を知ることができておりますでしょう。連絡を取って近況報告をする必要なんて無くなってきております。
ですが、やっぱり直接話をする、言葉を交わすっていうのは良いものでございます。
摘果をしながら、お互いの近況とか目標とかを話し合ったりしておりますと、もう"久しぶり"なんて感覚はすぐに無くなってしまうのでございますね。
もちろん、ランチや飲み会でも、話はできて距離は縮まるでしょう。
しかし、何か手を動かしながら、さらに目を合わせる必要が無い環境の方が話しやすいなんて場合もあるのではないでしょうか。
沈黙が続くこともありますけれど、お互い作業中なので気にはなりません。
摘果って、結構いいコミュニケーションの場だと思っているのですが、いかがでしょう。

6月が勝負でございます

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最近は育休中の妻や生後7週の息子も畑に来ることがございまして、息子をサンシェードの中に転がしつつ、妻は摘果をしてくれることもございます。
妻は摘果作業が好きなようで、家に籠りがちになる生活の気晴らしになっているのは嬉しいもの。
さらに、作業中に息子の姿が見えたり、声が聞こえたりするのも、なかなか良いものでございます。

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そんな、自分とも人とも向き合える摘果作業は、6月中旬頃には一輪摘果まで終わらせたいもの。
まあ間に合う気はしませんが、摘果できた部分が収穫できると考えて、日も長くなってまいりましたし、身体が持つ限りがんばりたいと思っております。

がんばるといえば、6月には安曇野市消防団のポンプ車操法大会がございます。
2番員を任されておりますが、昨年は市の大会で2位、上の大会では最下位と悔しい思いをいたしました。
メンバーをほぼ変えずに挑む今年、今のところいい練習ができております。
週の半分以上夜遅くまで練習があり満身創痍ですし、妻には負担をかけてしまっておりますが、あと数週間、楽しんでがんばりたいと思っております。
消防団活動については、またの機会にお話しできたら。

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ではまた来月、お会いいたしましょう。

 

この記事を書いた人

古田然さん

北アルプスのふもと安曇野市三郷小倉で3年間の研修を経て、2017年にりんご農家として独立した古田然さん。
農業が好き! 人が好き! 地域が好き! な古田さんが、安曇野の暮らしをつづります。

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