畜産物・酪農

育てた子牛たちとの別れが教えてくれたこと

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別れの季節でもある春。こんな別れもありました。4月13日に開場した長野県中央家畜市場(木曽郡木曽町)では、開場式後に初競りも行われ、約360頭の和子牛が上場しました。競り前の共進会に出る子牛を入念に手入れする生産者たち。その中でじっと子牛に向き合う人がいました。

この悲しい気持ちはなんだろう?
木曽地方の畜産農家だというその人は、「子牛たちと別れるときはいつも感慨深い」と言います。「ここまでよく育った、という喜びもあるが、悲しい気持ちがないと言えばうそになる」とも。「どうしても牛があと何年生きられるのかを考えてしまう」という言葉から、プロの生産者としての割り切りを超えた、牛への愛情が伝わります。

ふと、柴崎コウが主演した映画『食堂かたつむり』に、死んだペットの豚を食べるシーンがあったのを思い出しました。映画を観て「えっ?」と思った人も多いのでは。でも「生きることは食べること」「生きることは他の命をいただき、その命をつなぐこと」というこの映画のテーマを考えれば、これもひとつの愛情表現だと納得できるのではないでしょうか。

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それはさておき、長野県中央家畜市場では今後、偶数月に競りが行われ、常時400−450頭が上場可能な県内肉牛振興の新拠点になります。多くの信州産の子牛がここから売られていくことになります。そのなかにはこうした小さな、けれども記憶に残る別れもあるのだということをあらためて知った1日でした。

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農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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