果物

ブドウの色の違いは何ですか?

ブドウ

ブドウの収穫がピークを迎え、店頭には多彩な品種が並ぶようになりました。人気のナガノパープルや巨峰など大粒で黒いブドウや輝くような黄緑が目をひくシャインマスカット、デラウエアやクイーンニーナなど、最近は赤い色のブドウも増え、売り場もバラエティーに富んでいます。そこで、ふと「この色の違いって何?」と素朴なギモンを感じ、長野県果樹試験場へおじゃましました。

アントシアニンが多いほど黒い

長野県果樹試験場は、長野県の主要品目であるリンゴやブドウなどの果樹の新品種の育成や、生産技術などの試験研究をしているところ。近年人気のナガノパープルも、この試験場で生まれた品種で、現在も新しい品種の研究が行われています。

対応してくださったのは育種部の峯村万貴さん。ナガノパープルの品種登録に携わるなど、2000年からブドウの研究に携わっている研究員の方です。

ブドウ

ブドウの研究をしている峯村万貴さん

Q.ブドウの色には黄緑、赤、黒があるのですね。なぜ色の違いが出るのですか?

A.果皮への色素(アントシアニン)の蓄積の違いによるものです。

Q.では、なぜ、色素(アントシアニン)の蓄積に違いが出るのですか?

A.それはブドウが持つ遺伝子の違いです。
ブドウの果皮色には大きく分けて黄緑色、赤色、黒色があります。
ブドウには、着色に関係する遺伝子が何種類かあり、着色機能をもつ遺伝子と着色機能がない遺伝子があります。また、着色機能をもつ遺伝子の中にも、着色機能が高いものと低いものがあります。このため、着色機能のある遺伝子をもっている品種では、赤色または黒色に色が付くわけです。着色機能が高い遺伝子をもつ品種ほど、また、着色機能がある遺伝子を多くもつ品種ほど色も濃く、黒色に近くなります。

ブドウ

ナガノパープル(県果樹試験場提供)

色の濃いブドウにはアントシアニンが含まれている、と聞きますよね。ブドウが色づいているということは、果皮にアントシアニン色素が蓄積しているということなんです。

アントシアニンにも種類があります

ブドウ

赤系のクイーンニーナ(県果樹試験場提供)

ブドウ

シャインマスカット(県果樹試験場提供)

このアントシアニンにも種類があり、ブドウでは「シアニジン」「ペオニジン」「マルビジン」「デルフィニジン」「ペチュニジン」の5種類。それぞれ色彩も微妙に異なり、赤色系のクイーンニーナやゴルビーなどはシアニジンが多い品種。また巨峰やナガノパープルはマルビジンが多い品種です。
アントシアニンの含有量が多いほど黒色に近くなります。

そうです。アントシアニンはポリフェノールの一種で、目の疲労回復にも良いとされています。抗酸化作用があるとも言われ、美や健康を気遣う人にも注目される成分のひとつですね。

美味しいブドウ作りの研究は進んでいます

ブドウ

収穫時などの作業効率を考え、ブドウが実る位置がほぼ直線上に来るように剪定する栽培方法も

県果樹試験場では美味しいブドウ作りのために日々研究が進んでいます。
作業効率を考えた剪定など栽培方法のほか、皮ごと食べられる品種や、温暖化の気候でも着色しやすい品種の育成(開発)など「甘いブドウをもっと気軽に食べたい」という消費者ニーズに応えるブドウ作りが考えられています。

ちなみに、近年は種なしブドウの割合が増えており、例えば長野県産の巨峰では、2011年産は34%だったのに対し、昨年は53%と半数以上を占めています。そういえば、店頭に並ぶ巨峰の多くは「種なし」と書かれている気がします。

ブドウ

ブドウの生産量は山梨県に次ぐ第2位、巨峰は全国トップの長野県。これからは県内各地の直売所などで収穫祭が催されます。その時はぜひ、ブドウ売り場で黄緑や赤、黒など色彩豊かなブドウに注目してみてください。きっと美味しいブドウが見つけられるはずです。

◆JAタウン"ぶどうのご注文はこちら"

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農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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