南信州の日常食。刺し・たたき・焼きで、馬肉を堪能♪

馬肉

5月も終わりにさしかかり、桜の花もとっくの昔に散ってしまいましたが、みなさんは「さくら」といえば何を思い浮かべますか?
今回は、長野に伝わる食文化「さくら」についてご紹介いたします。

馬肉を食べる文化はいつから?

20170525baniku02.jpgイノシシ肉は「ぼたん」、シカ肉は「もみじ」というように、「さくら」はウマ肉を指す隠語。馬肉を食べる文化は熊本県、長野県が有名ですね。
その歴史は古く、平安時代までさかのぼります。平安時代、「御牧(みまき)」といわれる天皇の牧場が全国に32カ所あり、そのうちの16カ所が信濃(長野県)に存在していたといいます。
江戸時代には、木曽馬が農耕馬、荷馬、武士の馬として重宝されていました。県南部に位置する伊那谷では、天竜川に沿って馬による物流が行われていたこともあり、馬と親しみがある土地柄です。

肉食禁制であった江戸時代には、軍中で兵糧が絶えた時や、天明の飢饉(1782〜1787)、天保の飢饉(1833〜1836)をきっかけに、中下層民の間に馬肉を食べる習慣が広まったとされています。また、馬の飼育が盛んだった東日本では、廃用馬や病気、事故で死んだ馬を密かに食べたり、精気を養うための「薬」として食べられていた、という記述もあります。
今でも日常食になるほど、馬肉は信濃人に好まれていますが、食用のための飼育記録はなく、農民の生活を支える貴重な財産であったようです。

馬肉料理バリエーションはさまざま

「馬肉といえば馬刺し!」とお思いの方も多いのではないでしょうか?
伊那市の飲食店で食べられるさまざまな馬肉料理をご紹介します。

馬肉

馬刺し

「亀」ではヒレ肉を使った馬刺しをいただくことができます。
周りが軽くあぶってあり、クセはありません。ネギを肉で巻いて、少しニンニクのきいた醤油につけて食べるのがおいしい!

「楽座 紅葉軒」では、ロースを使ったさくらステーキとさくら丼をいただきました。

馬肉

さくらステーキ

ステーキは表面を焼いただけのたたき風で、地酒である「仙醸」と伊那醤油でできたタレ、粗挽きワサビでいただきます。噛むと口の中に肉の甘みが広がり、タレがさらに肉の味を引き立てます。

馬肉

桜花丼

下にあるごはんが見えないくらい"これでもかっ!"と馬肉が盛り付けてあります。
青しそと生姜醤油でさっぱりといただきます。

馬肉

たてがみの脂。馬肉カルパスとともに

通常メニューではありませんが、特別にたてがみ(首)の脂をいただきました。
たてがみの脂は赤身と一緒に食べるのがおいしい食べ方だそうです。
コリコリと噛みごたえがあり、脂といえども、くどくなく、甘くて噛んでいるうちに溶けてなくなってしまいます。脂だけでも十分おいしいですが、赤身と食べることでお互いが味を引き立て合い、馬本来の味を堪能することができます。

伊那谷では、取れたてのきのこと馬肉で「さくら鍋」をするのが秋の風物詩でもあります。また、馬の腸を煮込んだ「おたぐり」という料理も有名です。

馬肉

おたぐり

馬は牛や豚よりも腸が長く、手繰り寄せながら洗うことから"おたぐり"と呼ばれるようになったとか。
「焼肉 いたや」では、味噌で煮込んであり、臭みはなく、歯ごたえがあるので最高の酒の肴になります。

おたぐりは過去の記事「おたぐりは信州伊那谷のローカルフード」でも特集してあるので、よろしければご覧ください。

いかがでしたでしょうか?
県南部では日常的に食べられている馬肉。足を運んだ際には、馬肉料理に舌鼓を鳴らしてみませんか?

【当記事でご紹介したお店】

伊那市伊那坂下入船町3308
TEL 0265-72-2130

楽座 紅葉軒
伊那市高遠町小原305-1
TEL 0265-94-2154

焼肉 いたや
伊那市伊那西町春日町第一4873
TEL 0265-78-7188

【参考文献】
『思わず人に話したくなる長野学(歴史新書)』県民学研究会
『長寿県・信州の食を考える』信州大学農学部食を考えるグループ
『なんでも食べるゾ信州人-長寿県の知られざる食文化考』中田敬二

この記事を書いた人

ジャスミン

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