JA長野県
16 09 2009

昔信州ではイナゴ捕りは子どもの常識でした

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早朝――息をひそめて、そろりそろりと稲穂に近づきます。田んぼのあぜにしゃがんで、目を凝らし、その姿を探す・・・と、いた! いました! イナゴ発見です! イナゴはバッタの仲間で、稲を食べる害虫とされていますが、昔は貴重なタンパク源として広く食されていました。今ではイナゴを食べる地域は少なくなり、かつては日本の昆虫食のメッカであった長野県でも、もはやその光景はまれに見る程度になってしまっています。こんな事では伝統文化が消えてしまいます。さあさあ、集まれ、子どもたち! おじいちゃん、おばあちゃんの長寿をお祈りして、今度の連休はイナゴを捕りに田んぼへ行こう!! 21日の「敬老の日」を迎えるにあたり、「長野県のおいしい食べ方」ではみなさまの健康長寿と五穀豊穣を祈願しつつ、長寿の里で名高い信州は佐久市でイナゴ捕りをしてきました。

イナゴを食べるのは伝統文化
農村医療の先進地であり、「ピンピンコロリ」という言葉の発祥地でもある長野県佐久市は、男女共に平均寿命が全国トップクラス。佐久市野沢にはいつまでも元気に活躍できるよう、「ピンコロ地蔵」というお地蔵さんもおり、観光地のひとつになっています。佐久市で生まれた人に聞くと、1990年頃の保育園の思い出にも、みなで畑に行って袋いっぱいにイナゴを捕り、給食のおばさんに佃煮にして食べさせてもらった記憶が残っているようです。1965年頃は小学校の授業でイナゴ捕りをし、それを売ってクラスの時計を買った、なんていうエピソードもありました。つまり、長いこと子どものお手伝いのひとつがイナゴ捕りになっていたのです。ほんの少し前までかくも身近だったイナゴを食する文化。実は昆虫からタンパク質やカルシウムをとりいれるという伝統的な食文化が、長野県の長寿を支えてきたひとつの要素でもあると言われています。

ウィキペディアというインターネット百科事典で「昆虫食」のイナゴの項目を読んでみましょう。

■イナゴ

大量に取りやすいため、日本を含む各国で食用にされている。日本ではコバネイナゴが多い。日本では佃煮にすることが多いが、中国やタイでは素揚げが多い。中国雲南省のケラオ族やハニ族は、初夏に総出で稲田に出、イナゴやバッタを捕まえて食べ、五穀豊穣を祈る祭りを行っている。古代メソポタミアではイナゴやバッタで魚醤に似た醗酵調味料を作っていた。新約聖書では洗礼者ヨハネが常食したという記述があり(イナゴマメの果実キャロブであるとする説もある)、ユダヤ教の教義では、イナゴを含むバッタ類を昆虫の中では唯一不浄でない生き物としている。


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早朝の田んぼがイナゴ捕りの舞台

いざ、田んぼへ、イナゴをつかまえに
イナゴは警戒心が強く、人が近づいたとたん、一斉に「ピョ〜ン」と飛んで、田んぼの中の方へ逃げてしまいます。ですから、イナゴを捕るときはイナゴに気づかれぬよう、そぉ〜っと・・・稲穂に近づきます。すると今度は逃げはしないものの、こちらに見つけられたのが分かったのか、イナゴの方もさりげな〜く、稲の反対側に「くるりっ」。身を隠してしまいました。

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負けじと隠れた方向を覗き込むと、またまたこちらに気づいてイナゴは「くるりっ」。再び稲穂に身を隠します。まるでイナゴとかくれんぼをしているようで、はたから見ると滑稽かもしれません。しかし! こちらは真剣、イナゴと悠長に遊んではいられません! イナゴを捕まえるのに絶好の時は、太陽が昇るまでのわずかな時間。朝露に稲穂もイナゴの羽も濡れて、イナゴはうまく飛べないからです。そのため、イナゴを捕まえるのが比較的容易になります。とはいっても、イナゴの飛ぶ力はなかなかのもの。ここはやはりそぉ〜っと近づく事がポイントです。

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この日は、なんとか30匹余りを確保できたので、袋ごとイナゴを持ち帰りました。ちなみにイナゴは稲刈りの頃が田んぼに水が張った時よりも獲りやすく、またイナゴもまるまると太っていておススメですよ。

おいしくいただくために大事なこと
イナゴ料理といえば、やはり佃煮! しかし調理をする前にまず、イナゴをこのように(写真)しばらく放置して、イナゴの体内から排出物が自然に出るのを待ちます。inago5.jpgおよそ半日か一日放置すれば、だいぶイナゴの体もきれいになるのです。たとえこの過程を省いたとしても、イナゴの主食は稲なので、食べてしまっても安心なのですが・・・そこはみなさまの気持ちにお任せします^^;)

ちなみに、外につるす時は犬や猫が飛びつかないように、気をつけること。ちょっと高めに掛けておきましょう。犬や猫も好きなのですから。

さて、朝の段階で放置しておいたイナゴですが、夕方になって調理にとりかかりましょう。今回は通気性の良い手ぬぐいを縫った袋に入れておいたため、イナゴは、そのときでもまだピンピン元気いっぱい! なんだかかわいそうですが、この袋ごと沸騰した鍋に入れてしばらく茹でます。イナゴの釜ゆでですね。

inago7.jpgゆでると、やがてイナゴは海老のように赤くなります。次はイナゴの足を取ります。これをすることで、食した時の歯ざわりが良くなるのです。そしてフライパンでゆであがったイナゴを炒り、水分を飛ばします。この時、焦がさないように水分をうまく飛ばしきると、カリッという良い食感がでるんです。

いまは食文化を見直すとき
最後にイナゴを炒り終えたら、みりん、砂糖、醤油で甘辛く味をつけます。ちなみに甘めの方が好評です。イナゴの佃煮は、お酒のおつまみ、ごはんのお供にも最高ですよ! 栄養ももちろんいっぱい。今回は余り量が取れませんでしたので、イナゴの佃煮の調味料の分量は目分量です。たくさんとれた際にはNHKのみんなのきょうの料理の「いなごの佃煮」レシピを参考にするとよいでしょう。ちなみに佐久市ではイナゴの佃煮を商店や直売所で買うことができます。

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「久しく食べてないな〜」という方も、「ちょっと怖いけど食べて見たい」という方も、いよいよ秋、この連休は、田んぼに出かけませんか? 現代において健康を維持する食の提案は沢山なされていますが、長寿の里を支えてきたものの失われつつある伝統食文化を、ここでもう一度見直してみることが必要なのかもしれません。

参考レシピ:

NHK みんなのきょうの料理「いなごの佃煮」のレシピ


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コメント

佐代様

コメントありがとうございます!
今年のイナゴのお味はいかがでしたか?^^
初めてのイナゴとの出会いは、お友達の手作りの味だったのですね。しかも小学生にして収穫から調理まで・・・すばらしいです◎
イナゴを鶏のエサにしていたとは知りませんでした!貴重な情報をありがとうございます♪イナゴさん、なんて頼もしいんでしょう!

投稿者 長野県のおいしい食べ方編集部 : 2009年09月24日 11:04

sakotubizin 様

コメントありがとうございます!
昔から身近にあったものを、もう一度見つめなおしてみると、実は珍しいものだったんだ・・・!ということを、sakotubizin様はじめ、皆様からのコメントをいただいて再び実感します。
そのような地域固有の「宝」を掘り起こして皆様にお伝えし、守っていければ良いと思っております^^

投稿者 長野県のおいしい食べ方編集部 : 2009年09月24日 10:48

小学校のときの友達のところへ遊びにいったとき
その子が田んぼへ行ってイナゴを捕まえてきて
フライパンでいきなり炒めだした。
私はびっくりして見ていましたが、美味しいよと言って
くれました。恐る恐る食べてみたことがあります。
美味しかったんだと思います。今も大好きで、稲刈りになると仕事そっちのけで、イナゴ捕りをし、佃煮にして
食べています。
昔は鶏をかっていて、イナゴは鶏の餌だったそう。
イナゴ一匹で卵を3個産むとかと聞いてました。
それだけ栄養があるってことなんですね。

投稿者 佐代 : 2009年09月21日 22:54

いろんな食べ物があるものですね★
都会の人に田舎の味が発進出来ればいいですね(´▽`*)
また、珍しい食材を期待しています。・゚・(ノ∀`)・゚・。

投稿者 sakotubizin : 2009年09月20日 01:16

かわせみ様

コメント、ありがとうございます!

写真の網帽子スタイルは、イナゴ捕りの定番ではありません^^;)今回撮影が早朝だったため、他の虫が攻撃的になっていることを恐れて被りました。以前早朝の草取りで虫にさされ、顔がパンパンになった経験があったので・・・(><)
またイナゴ捕りの際は、軍手をはめた方が稲で手を切るのを防げるのでおすすめです。ただ軍手がもたつくので、網で一気に捕る方法が一番いいかもしれません。素手でイナゴを持っているのは、撮影のためです。逃がさないように苦労しました^^

投稿者 長野県のおいしい食べ方編集部 : 2009年09月17日 05:57

なんちゃん様

コメントありがとうございます!

勇気をもってイナゴを召し上がったとのこと、長野県民のご友人もきっとうれしく感じた事と思います♪
なんちゃん様が今年もまた、イナゴを口にして「おいしい!」と思う機会がありますように・・・^^

投稿者 長野県のおいしい食べ方編集部 : 2009年09月17日 05:43

だい様

コメントありがとうございます!

だい様が網を振り回した当時を、懐かしく思い出すきっかけとなったでしょうか?(^^)
今年も機会があればイナゴを遠くのお知り合いの方へのおみやげにして、信州の話題を楽しんでいただければ幸いです。

投稿者 長野県のおいしい食べ方編集部 : 2009年09月17日 05:36

maki-n様

コメントありがとうございます!

確かに、初めて耳にした方は抵抗を感じますよね^^;)イナゴや土筆のように、子供たちに遊ばせながら四季の食文化を伝えていくのも、大切な事なのではないかと思います。

投稿者 長野県のおいしい食べ方編集部 : 2009年09月17日 05:28

居酒屋で食べるカワエビを連想しますね。
ところで、写真を見ると黒っぽい網をかぶっていますが、これって反撃防止?目とか狙ってジャンプしてくるんでしょうか。
それと素手で捕まえようとしていますよね。網とかの道具は使わないんでしょうか。
ナゾです。

投稿者 かわせみ : 2009年09月16日 17:45

毎週、楽しく読ませていただいています。

イナゴはこの時期に収穫?されるんですね!
以前、長野の友人の勧めで恐る恐る食べてみましたが・・・・
甘辛くてとってもおいしかったです!!
この記事を拝読して、また食べてみたくなりました♪

投稿者 なんちゃん : 2009年09月16日 16:25

今ではもう田んぼでイナゴを取る風景は見れないですよね
昔は網をもって振り回していました。
確かに 見た目はあまりよくないですが味はなかなかのものです
たまに遠くにおみやげでもって行くと 驚きと不思議さで
にぎわいます。

投稿者 だい : 2009年09月16日 15:33

昔、約1年伊那に住んでいた頃イナゴ取りを保育園の行事でやったと母に聞かされてました。春には土筆取り。
おかげで、イナゴは平気で食べられます。
長野県民以外の人にはなかなか理解されにくいですが・・・

投稿者 maki_n : 2009年09月16日 15:04

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