信州小川村に出向き旬の山菜御膳料理を食す

山菜、その特徴はご存知の通り、えぐみと苦味、そして強い香り。年齢を重ねるにしたがい山菜は恋しくなるものだとかいわれますが、まずその食べ方は、“天ぷら”か“おひたし”が定番と、いたってワンパターンになりがちです。では山菜の本場のお母さんたちが作る山菜料理とはいかなるものか? 長野市内から車でおよそ30分程に位置し、今だ農村風景に浸ることが出来る小川村で、地元の畑で採れた旬の山菜を使った郷土料理を楽しむ会(その名も「春のお膳を楽しむ会」)が催されると聞きつけ、でかけました。
耕して天に至る土地
長野市から白馬へ伸びる国道19号線のオリンピック道路を、小川村から鬼無里の方面を目指して脇道の坂を車でグングン登っていったところにある「アルプス展望広場」からは、まだ雪をかぶったままの鹿島槍や五竜岳等北アルプス連山の雄大で素晴らしすぎる景色が大迫力で眺められます。小川村は「日本の里100選」にも選ばれた土地で、広い畑と昔ながらの形を留めた家が点在する、農村の原風景のなか、空気のきれいなところですが、急傾斜畑の多いこの土地は、「耕して天に至る」と言われたほど。畑作を主としてここで作られる作物は、麦と大豆。特に「粉モノを食べたいなら西山(長野市から見て西にある小川村、中条村、信州新町などをいう)へお嫁においで」と言われたほど、この土地は粉食の文化が昔より現在までも引き継がれている土地柄。
山菜レシピの一部をおすそ分け
今回「OGAWAお膳を楽しもう会」のメンバーの方に教わりながら作った山菜御膳料理は、セリのまぜ寿し、ヨモギ団子のおすまし、菜の花の和え物(からし醤油またはマヨ+からし醤油)、山菜の天ぷら(使用した山菜は、ヨモギ、ワラビ…アク抜き処理をしたもの、山ウドの葉)でした。ここではそのなかから、レシピの一部を紹介しましょう。いつもの料理とはちょっと違うものが食べたい時、手軽に作れますので、ぜひお試しあれ。ここに紹介する材料は全て4人分です。お好みに合わせて調味料は加減してください。
セリのまぜ寿し
「セリにこんな食べ方があったのね」と驚くほど、セリの風味がよく酢飯と合います。
〔材料〕
ご飯…4合
ニンジン…100g
タケノコ…100g
干し椎茸(大)…4枚
セリ…150g
しょう油…大さじ3
砂糖…大さじ3
酒…大さじ2
合わせ酢(寿司酢)…適量
白ゴマ…大さじ2
油…少々
〔作り方〕
(1)セリはゆでて1〜2センチに切る。
(2)ニンジン、タケノコ、戻した椎茸は、細かく千切りにする。
(3)上記の1と2を油で炒め、しょう油、砂糖、酒、椎茸の戻し汁を加えて炒り煮する。
(4)ご飯を合わせ酢と混ぜたら、3の具材と白ゴマを混ぜ合わせる。
ヨモギ団子のおすまし

モチモチとしたこしのあるお団子が美味しい一品。ヨモギの草色が食欲をそそります。
〔材料〕
ヨモギ(若芽の部分をゆでたもの)…80g位
[色を見ながら入れる量を調整する]
白玉粉…60g
片栗粉…大さじ1
だし汁…4カップ
しょう油…小さじ1
塩…小さじ1
板ふ…4枚
レイカ(キノコ)…適量(ゆでておく)
〔作り方〕
(1)よもぎは軟らかくゆでてミキサーにかける(ミキサーが回るくらいの少量の水を加える)
(2)白玉粉と片栗粉を合わせて1を加え、耳たぶ位の軟らかさになるまで良くこねたら薄い団子状に丸める。(水が足りないときは、手を水につけて様子を見ながら少しずつ水を加える)
(3)鍋に湯を沸かして2の団子を入れて5〜6分間ゆでる。浮いてきたら水に放つ。(長い間水につけておかない方が美味しい)
(4)だし汁にしょう油と塩を加え、お椀にレイカと板ふと団子を入れたらだし汁を注ぐ。
郷土の料理を伝えていこう
「OGAWAお膳を楽しもう会」は、小川村に伝わる郷土の食文化を後世に伝えていく仲間の集まりです。現在会員は会長の坂井薫さんを先頭に30名弱。もともと「農村女性ネットワーク小川」に所属した方々で、食育や土壌の改良、女性の自立等を中心に活動を行なってきたのです。
その中で今回の郷土料理開催のきっかけともなった、村の食文化についてまとめた冊子「小川の行事食」の製作が行われました。しかし本を見ただけでは、とかく「なんかおいしそうだね」だけで終わってしまいがち。それを「小川村にあるもので実際に作ることによって楽しんでもらうと同時に、小川村に伝わる郷土の料理として長く伝えていきたい」そうしたメンバーの思いから、昨年の春から四季折々にあわせてこの会が開催されるようになりました。

「郷土料理」の多くは、親から子へと一緒に作りながら見よう見真似で伝えられているものが多く、きちんとレシピとして分量を記したものがなかったのですが、今回は栄養士の方に分量を書き記してもらい、今後は誰でも同じように作れるようにして、今回の郷土料理の集いも開催に至ったとか。
こうして郷土の料理は進化していく
参加者は、小川村を愛し、また郷土の料理に関心を持つ地元小川村をはじめとしてその周辺から合計20名以上。男性も5名ほどの参加がありました。長野市から参加された方は「ヨモギやワラビを天ぷらにするとは知らなかった」と感想を述べ、また、このような料理は食べなれているのではないかと思われた地元の方も「とてもなつかしい味だった。昔よく作ってもらって食べたのを思い出した」と話します。
「親から教わる料理は作るものはだいたい決まってきてしまうが、今回のこのような会に参加することにより、同じ食材でもいろいろな食べ方を知ることが出来、地元の食材をより美味しく料理し、またみんなで楽しんで作りながら作り方を知れて楽しかった」
参加された方それぞれに思うところがあったようで、大変好評でした。その土地だからこそ誕生し、またそれを守りながらもお母さんたちの知恵により発展されてきた郷土の味を、いつまでも伝えていってほしいと願うと共に、その土地で癒されながら料理のレパートリーを増やしていきたいと思いました。
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